3. 糖尿病のある方が自立できるように

糖尿病

2024.07.10 更新

厚生労働省より発表された資料によると糖尿病とその予備群は約2,000万人と推測。年代としては70歳以上が占める割合が高く、超高齢化社会の日本においてその数字は今後も増えていくといわれています。

そんな状況と日々向き合っているのが神奈川県横浜市にある高田中央病院の荏原 太先生。「糖尿病の予防や治療に欠かせない“食事と運動”をゲーム感覚で取り組めるように」と健康習慣アプリを取り入れるなど、柔軟な発想で「糖尿病のある方と共に歩むこと」を目指しています。 明るく創造力豊かな荏原先生から、楽しみながら生活習慣を整え、病を乗り越えるヒントを伺いました。

第3回は、糖尿病のある人が自立するために、先生がどう向き合っているかについてのお話です。

僕は山岳ガイドのようなもの。皆さんが迷わず進めるように案内する

前回までのお話のように、糖尿病は、普段の生活での自己管理が予防、治療において欠かせません。

「“先生にお任せします”と医師に依存してしまう方も多くいらっしゃいますが、私たちは皆さんが自分で考えて行動できるようになることを目指しています。僕は山岳ガイドのような役割で、目標を設定して、達成するための道筋を提案する。それも楽しく、やる気を引き出せるように。

ひとつのプランとして『日記』を書いてみませんか? と提案しているんです。自分の表面上の能力を見て自分はこれしかできないと思わず、潜在能力の部分に意識を向けて、その大きさを信じて生きていく。日記をつけると、その形のない潜在力の部分に次第にアプローチできるようになります。その第一歩は、毎日3食の食事と行動に目を向けて、日々の気持ちの変化や疑問点、問いを書き続けていく。そのうちに日記を読み返すと自己内対話やストーリーが生まれます。やがて次の目標設定を自らできるようになり、自然と親(医師)離れができますよ」

と、アイデアが次々と出てくる荏原先生。まさにガイドさんのように頼りになります。

災害に備えて会社から家まで歩けるようにしておく。その目的が運動するきっかけに

「日本は災害が多い国です。電車が止まったら会社から自宅まで歩けますか? その体力をつけることを目標にしませんか? というお話をすることもあります。いざというときのために歩くルートをチェックし、途中まででも歩いてみるといった動機付けがあれば、人によってではありますが運動する意欲も湧いてきますし、災害に対する備えもできます」

また、旅をしながらサイクリングなどの運動をしたり、温泉でリラックスしたりといったウェルネスツーリズムを提案し、病気のためではなく、人生を楽しむことに重きを置いて、生活習慣改善へと導く取り組みもしています。

自分で考え、楽しみながら治療に取り組めるよう、先生がガイドをしたり、伴走したりしていることが伝わってきます。

次回は、治療をするうえで大切にしているコミュニケーションについてのお話です。

撮影/相馬ミナ
取材・文/梅崎なつこ
編集/おいしい健康編集部

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