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2020.4.6 更新

適正なエネルギー摂取量を知ろう

筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科

准教授 矢作直也先生

2型糖尿病の食事療法では、まず自分にとって適正なエネルギー量を知ることからはじまります。

血糖値のコントロールにエネルギー量が関係します

2型糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが不十分な状態をいいます。エネルギーの摂取量を安定させることで血糖値のコントロールを目指すため、「食事の量」はとても大切です。

とはいえ食べる量が少なければよいわけではありません。大事なのは「適量」。自分にとっての適正なエネルギー摂取量を知ることからはじめましょう。

適正エネルギー摂取量は個別で算出されています

適正なエネルギー摂取量は人それぞれ異なります。目安量は、身長に対する標準体重と活動量から算出することができます。

適正エネルギー量(kcal/日)=

標準体重(kg)×身体活動量(kcal/kg)

標準体重(目標体重)=身長(m)×身長(m)×22

身体活動量の目安

・やや低い(デスクワークが主な人)……25~30kcal/kg標準体重

・適度(立ち仕事が多い職業)……30~35kcal/kg標準体重

・高い(力仕事の多い職業)……35~ kcal/kg標準体重

年齢や病態、代謝状態の変化、目標体重など、さまざまな事情もふまえて、エネルギー摂取量を割り出します。適正エネルギー量とは、すなわち消費エネルギー量のことであり、基本的には糖尿病のある人もない人(健常者)も適正エネルギー量は同じです。ただし、肥満を伴っていて減量が必要な場合は、減量期(通常、約半年ですが状況により変わります)の間のエネルギー摂取量は消費エネルギー量より少なめに設定されます。

自分の目安を知るために、計算してみるといいでしょう。

エネルギー量とあわせて体重にも意識を向けて

肥満を伴った2型糖尿病は、内臓脂肪型肥満によるインスリンの働きの低下が背景にあります。血糖値のコントロールを良好にするためには、肥満の改善も重要です。

自分が肥満かどうかは、身長と体重で割り出す「BMI」でわかります。

BMI(肥満度)=

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

BMIは、国際的に用いられる体格指数のこと。18.5未満はやせ、18.5〜25.0未満は正常、25.0以上は肥満と判定されます。

また、2型糖尿病では「目標体重」についても考えます。

目標体重とは、一般的には身長からBMI=22を基準に割り出す「標準体重」のこと。ただ、実際の目標体重(目標BMI)は個人差があり、かならずしも標準体重(BMI=22)に合わせるわけではなく、例えば20歳時の体重を参考にしたり、過去に血糖コントロール状況が良かったときの体重を参考にしたりしながら手探りで設定していきます。また、とくに高齢者の場合、目標とする体重は年齢や病態、併発症、筋力の低下や体重減少などの身体的な変化、摂食状況などを考慮して個別に考える必要があります。

目標体重を目指し、適正エネルギー摂取量の範囲で食事を摂りましょう。

<参考>『糖尿病診療ガイドライン2019』編・著 日本糖尿病学会(南江堂)

文/おいしい健康編集部

筑波大学
内分泌代謝・糖尿病内科
准教授 矢作直也先生

筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授。東京大学医学部卒。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任准教授を経て2011年より筑波大学准教授(ニュートリゲノミクスリサーチグループ代表)。医師として糖尿病やメタボリックシンドロームの診療にあたりつつ、研究者としてニュートリゲノミクス研究を推進。薬局と医療機関との連携による糖尿病早期発見プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の展開など活動は多岐にわたる。著書に『遺伝子制御の新たな主役 栄養シグナル』(編集;2016年、羊土社) など。

筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科 准教授 矢作直也先生

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