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2020.4.6 更新

お酒は飲んでも大丈夫?アルコール量のおはなし

自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門

教授 矢作直也先生

お酒は気分を落ち着かせ生活を豊かにする効果がありますが、健康リスクが気になります。

2型糖尿病では、お酒とどう向き合えばよいでしょうか。

お酒のエネルギー量を知っていますか?

アルコールにはエネルギーがあり、1gあたり7kcal。アルコール度数の高いお酒ほどエネルギーも高くなります。ただし、アルコール自体のエネルギーは体に蓄えられる代わりに熱になるため、エンプティカロリーともいわれます。

また、 ビールやワインなどお酒ごとに含まれる糖質量によってもエネルギー量は異なります。

ビール(缶1本350ml) …約140kcal

日本酒(1合180ml)…約185kcal

赤ワイン(1杯120ml) …約87kcal

白ワイン(1杯120ml) …約87kcal

ウイスキー(30ml)…約71kcal

お酒のエネルギー量を知っておくといいでしょう。

アルコールは血糖コントロールに影響あり

お酒を飲むと、アルコールは胃と小腸で吸収され、血液に入り肝臓に送られます。肝臓内でアルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドに代わり、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素によって酢酸に分解される「代謝」が行われます。最終的に水と二酸化炭素に分解されて、汗や尿、呼気から排出されます。

アルコールはアルコールそのものの作用やアルコールの代謝に伴って、血糖値に影響を与えます。血糖コントロールの不良は糖尿病合併症の危険性を高めるため、お酒の量は検討しなければいけません。

また、アルコールを急に摂ると低血糖を起こすこともあり、インスリン療法を取り入れている場合は、飲酒に注意が必要です。

アルコールの摂取目安は1日25gまで

2型糖尿病では、血糖コントロールが良好で医師から止められていなければ、お酒を飲むことは禁止されていません。

ただしアルコール摂取量には適量があり、2型糖尿病では「上限」として1日25gまでとされています。

「アルコール25g」がお酒ではどれくらいの量になるかを、アルコール量20gの場合を例に見てみましょう。

ビールはロング缶1本(500ml)、日本酒は1合程度、ワインはグラス2杯弱(200ml)です。

お酒を飲むときは、エネルギー量は自身の適正範囲内にし、アルコール量も上限を超えないように楽しみましょう。飲酒の許容量は糖尿病の状態などでそれぞれ異なるので、主治医の指導に従ってください。

<参考>『糖尿病診療ガイドライン2019』編・著 日本糖尿病学会(南江堂)

<参考>文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』

*1 アルコール20g量で換算した目安量

文/おいしい健 康編集部









自治医科大学
内科学講座 内分泌代謝学部門
教授 矢作直也先生

自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門 教授。東京大学医学部卒。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任准教授、筑波大学准教授を経て現職。ニュートリゲノミクスリサーチグループ代表。医師として糖尿病やメタボリックシンドロームの診療にあたりつつ、研究者としてニュートリゲノミクス研究を推進。薬局と医療機関との連携による糖尿病早期発見プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の展開など活動は多岐にわたる。著書に『遺伝子制御の新たな主役 栄養シグナル』(編集;2016年、羊土社) など。

自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門 教授 矢作直也先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。