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2020.4.6 更新

食べる順番と血糖コントロール

筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科

准教授 矢作直也先生

みなさんはいつも食事をどのように食べているでしょうか。

好きなものから食べて苦手なものを後回しにしたり、麺類やごはんものばかり選んだり、飲み込むように早食いをしたり。食べる順番や食べ方はさまざまです。

近年、この食事(食品)の摂り方によって、食後の血糖値の急上昇を抑えられることが注目されています。

まず先に、食物繊維が豊富な食品から食べましょう

食後の血糖値の急上昇には、食べる「順番」が関係しています。

血糖コントロールによい順番とは、一番先に野菜や海藻、きのこなどの食物繊維が豊富な食品を食べること。

食後の血糖値の上昇を抑えることができ、体重の減少やHbA1c(糖尿病の血糖管理指標のひとつで、過去1〜2カ月間の平均血糖値を表します)の低下につながることが報告されています。※1

また、「炭水化物」を摂るタイミングも食後の血糖値の上昇の関連があります。野菜に限らずに肉や魚などの主菜を先に食べ、炭水化物はそのあとに食べること。例えば、お昼に定食を食べるとき、ごはんから手をつけず、副菜のサラダや酢の物、焼き魚などの主菜から食べて、ごはんは後に食べるということです。

しっかり噛んで食べることはやはり大切

「しっかり噛んで食べましょう」とはよく言われていますが、血糖コントロールの点からもとても大切です。

50才以上の壮年・高齢者を対象にした研究では、咀嚼力が低下すると血糖値のコントロールが乱れる可能性が報告され※2、よく噛んで食べることは血糖値との関係でも注目されています。

理想的な食べ方は、まず先に食物繊維を含む食材を選び、しっかり噛んで食べること。食後の血糖値の上昇を緩やかにすることができ、よく噛むことで満足感も高まります。

食事のとき、ひと口30回以上噛むことを意識してみましょう。また、歯ごたえのある食品を選ぶと、自然と噛む回数が増えるのでおすすめです。

<参考>『糖尿病診療ガイドライン2019』編・著 日本糖尿病学会(南江堂)

*1 Imai S, Matsuda M,Hasegawa G et al : A simple meal plan of ‘eating vegetables before carbohydrate’ was more effective for achieving glycemic control than an exchange–based meal plan in Japanese patients with type 2 diabetes. Asia pac.j.Clin.Nuttr 20:161-168,2011

*2 柴崎 貞二,糟谷 知宏,斎藤 誠一郎ほか:咀嚼能力と血糖コントロールとの関係について.プラクティス 11:262-265, 1994

文/おいしい健康編集部









筑波大学
内分泌代謝・糖尿病内科
准教授 矢作直也先生

筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授。東京大学医学部卒。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任准教授を経て2011年より筑波大学准教授(ニュートリゲノミクスリサーチグループ代表)。医師として糖尿病やメタボリックシンドロームの診療にあたりつつ、研究者としてニュートリゲノミクス研究を推進。薬局と医療機関との連携による糖尿病早期発見プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の展開など活動は多岐にわたる。著書に『遺伝子制御の新たな主役 栄養シグナル』(編集;2016年、羊土社) など。

筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科 准教授 矢作直也先生

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