07

2020.4.6 更新

食物繊維と糖尿病の関係

筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科

准教授 矢作直也先生

「食物繊維」はお通じにいいという印象がありますが、糖尿病の食事療法に役立つ成分であることをご存知ですか?

水溶性と不溶性の2種類あります

食物繊維とは、消化・吸収されずに大腸まで達する食品成分のこと。水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります。

水溶性食物繊維は、オクラや昆布などのネバネバする食品や、くだもの、こんにゃくなどに含まれています。糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急な上昇を抑える働きがあります。

一方、不溶性食物繊維は、きのこやごぼう、野菜やくだもの、豆類などの食品や、穀物の皮などに多く含まれます。胃や腸で水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して便通を促します。噛みごたえのあるものが多く、満腹感が得やすくなります。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維、どちらの働きも糖尿病の食事に役立ちます。

穀物の食物繊維を中心に1日20gを目標に

食物繊維といえば、野菜や果物、きのこ類などが思いうかびますが、糖尿病の食事で注目したいのは、穀物に含まれる食物繊維。

野菜や果物、きのこ類、海藻などの食物繊維とともに穀物の食物繊維も合わせ、1日20gを目標に摂りましょう。

食物繊維が含まれる穀物といえば、大麦や押し麦など。そして、そばからも摂ることができます。

例えば、150gの炊いたごはん(精白米)の食物繊維は2.3gですが、同量の押し麦を混ぜたごはん(押し麦3:精白米7)では3.6g摂ることができます。また、180gのそば(ゆで)の食物繊維は3.6g、うどん(ゆで)は1.5g。主食を食べるとき、食物繊維量を意識して選ぶと効率よく摂取できます。

食物繊維の摂取量が減少中。1日20g摂るための工夫

日本人の食物摂取量は、1950年では1日20gを超えていましたが、食生活の欧米化や穀類・いも類・豆類の摂取量の減少にともない、食物繊維の摂取量は今、減少しています。

食物繊維を毎日しっかり摂り続けるためには、食品選びがポイントです。

主食の食品を玄米などの食物繊維の多い食品に代えてみる、緑黄色野菜やきのこ、海藻類を意識して食べる、おやつに食物繊維の多い食品を選ぶなど、ちょっとした心がけで食物繊維が摂りやすくなります。

また、1日に、野菜類の小鉢を4〜5品(1食あたり1〜2品)摂ることを目標にすると、食物繊維の摂取目標量20gをクリアしやすくなります。

食事を大きく変えることなく、身近な工夫で食物繊維を摂っていきましょう。

<参考>『糖尿病診療ガイドライン2019』編・著 日本糖尿病学会(南江堂)

<参考>文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

文/おいしい健康編集部

筑波大学
内分泌代謝・糖尿病内科
准教授 矢作直也先生

筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科准教授。東京大学医学部卒。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任准教授を経て2011年より筑波大学准教授(ニュートリゲノミクスリサーチグループ代表)。医師として糖尿病やメタボリックシンドロームの診療にあたりつつ、研究者としてニュートリゲノミクス研究を推進。薬局と医療機関との連携による糖尿病早期発見プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の展開など活動は多岐にわたる。著書に『遺伝子制御の新たな主役 栄養シグナル』(編集;2016年、羊土社) など。

筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科 准教授 矢作直也先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。