女性ホルモンの減少を緩やかにし、バランスを整えて、女性ホルモンの守りがなくなることで生じる不調を改善するためには、食事以外の生活習慣を整えることも大事です。適度な運動をして、自分に合うメンタルケアを見つけ、良質な睡眠がとれる生活を心がけましょう。
無理のない範囲で体を動かす習慣を
更年期の不調を改善するには、適度な運動を習慣化することが効果的です。理想は筋トレや有酸素運動、ストレッチをバランスよく行うことですが、ハードな運動は習慣化しづらく、かえって関節や筋肉を痛めることになってしまうので、軽めの運動で大丈夫です。おすすめは、ウォーキングやストレッチ、ラジオ体操など。運動が苦手な人は、家の周りを歩くことでもいいでしょう。また、ラジオ体操はたった4分です。ベッドの上で、手足を上げてバタバタ動かすごきぶり体操をしたり、うつ伏せになり、おなかの下に枕を入れてゆらゆら揺れたりするだけでもいいでしょう。全身の筋肉が動いて血流がよくなり、体が温まって自律神経が整いやすくなります。
できることから少しずつでも始めると、体を動かすのが楽しくなり、3カ月続けば自然と生活に溶け込んで習慣化します。
不調をやわらげるメンタルケア
更年期になると、理由もないのにイライラしたり、悲しくなったり、落ち込んだりして、「自分はダメな人間だ」などと思いがちです。しかし、その認識は間違っています。日本の女性は責任感があり、我慢強く、夫や子供、同僚など、周りの人を優先するので、自分の気持ちは後回しにしがち。そのため、メンタルがすり減って、空疎になってしまうことが多いのです。大切な人のためにも、サステイナブル(持続可能)な自分でありたいもの。
つらい思いは一人で抱え込まず、家族や友人に吐き出しましょう。また、カウンセラーに相談するのもいいでしょう。世界が開けて、自分自身を大切にできるようになります。
もちろん、自分を上手にいたわることも大事です。ちょっと贅沢をしてエステやネイルサロンできれいになるなど、自分なりのリフレッシュ法を見つけて、気持ちを前向きに切り替えられるようにしましょう。
良質な睡眠の確保を
もともと日本女性は、世界一のショートスリーパー。その上、更年期になると女性ホルモンが減少する影響で、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めて明け方まで眠れなくなったりといった睡眠障害に陥りやすくなります。こうした睡眠の質の低下は、動悸や発汗、めまいなどの自律神経失調症を生じさせ、判断力や思考力、記憶力にも影響してしまうので、良質な睡眠の確保は必須です。
そのためには、生活リズムを整えることが何より大事です。毎日、朝は決まった時間に起き、朝日を浴びましょう。すると14時間後に「睡眠ホルモン」のメラトニンが分泌されて、自然な眠りに誘われるようになります。もちろん、同じ時間に起きるためには、夜もできるだけ同じ時間に布団に入るようにしてください。また、睡眠の質を下げるお酒はほどほどにし、深い眠りに入れるよう、就寝の1時間前にはテレビやスマートフォンをオフにしましょう。ストレスが溜まると眠りが浅くなるので、深呼吸や瞑想、好きな音楽や香りでリラックスすることも大事です。
<参考>日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会編集「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」
<参考>対馬ルリ子監修「プレ更年期1年生」(つちや書店)
<参考>対馬ルリ子、南雲久美子監修「Dr.クロワッサンハンディBOOK更年期をのりきる食べ方」(マガジンハウス)
文/綾城和美
編集/おいしい健康編集部