7. ほどよい運動『ピラティス』について

1型糖尿病の運動

2020.05.07 更新

小学校6年生のときに1型糖尿病にかかり、それがきっかけで医師をめざしたという市原由美江先生。現在は糖尿病専門の医師として活躍しています。1型糖尿病がどういう病気なのか、また、ご自身の病気がわかったきっかけやなぜ医師をめざすことになったのか、お話を伺うページです。

6.毎日の血糖値と上手につきあう」では、血糖値を一定に保つためにできる日々の工夫についてお聞きしました。今回は、糖尿病患者さんが取り入れやすい、血糖値の数値に変動の少ない運動についてです。

運動は、血糖値の変動に気をつけながら

お子さんを抱っこして散歩をすると低血糖になってしまうという話があったように、1型糖尿病患者にとって、急激な運動は血糖値を下げることになってしまいます。とはいえ、体にとって、全く運動をしないというのも問題です。

「運動した方がインスリンの効きも良くなるのですが、どのタイミングで運動すればいいのか、さらにどれくらい動けばいいのかを見極めるのはとても難しいのです」

血糖値が下がりにくい運動があるんです!

しかし、ここ最近、とても面白いことがわかったと言います。なんと、血糖値の下がりにくい運動があったというのです。

「まだきちんと統計を取っていないので断定はできませんが、『ピラティス』で数値が下がったことはありません。これは私に限らず、友人が患者会で取り組んでみても下がりませんでした。有酸素でも無酸素でもない、ちょうどいい塩梅の運動のようです」

それに、ピラティスをした翌日は血糖値がフラットだということにも気がついたと話します。さらに週に一度行っているという加圧ジムでの筋トレも、その翌日の数値はフラットなのだそう。

「体のことを考えたら運動はした方がいいですよね。筋肉量が少ないと血糖値は上がりやすいですから。運動すると、代謝もアップするのでおすすめです」

もちろん有酸素運動が必ずしも低血糖を起こすとは限りません。時間帯や体調によっては有酸素運動でも大丈夫という人もいます。無理のない範囲で挑戦してみて、自分に合う運動を見つけてみましょう。

8. 医師として、患者とどう向き合うか」に続きます。

取材・文/長谷川華・おいしい健康編集部
写真/近藤沙菜