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2021.6.2 更新

大腸、小腸などに炎症が起こります

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長

長堀正和先生

前回は、クローン病の主な症状のお話をしました。 今回は体の中がどのような状態になっているのか解説していきます。

腸管が炎症により深く傷つきます

クローン病が最初に報告されたのは、1932年。米国・ニューヨークのマウントサイナイ病院のクローン医師らによって報告されました。医師の名前が、病名の由来です。

潰瘍性大腸炎ととても似ているクローン病ですが、大きく違う点は、病変が生じる部位と傷(腫瘍)の深さにあります。

クローン病は口腔から肛門まで、消化管といわれる部分のどこにでも発症します。特に小腸・大腸・肛門の周囲に発症することが多いのが特徴です。小腸だけに病変がみられる小腸型、小腸だけでなく大腸にも病変がみられる小腸・大腸型、大腸だけに病変がみられる大腸型などに分けられます。

クローン病の病変は、腸管の深いところまで傷がついたり(潰瘍)、腸管が硬く狭くなったり(狭窄)、腸管に孔が開いて腸管と腸管、もしくは腸管と皮膚がつながったり(瘻孔形成)します。

腸管が狭くなることで、食べたものが通過しなくなる腸閉塞なども起こることがあります。

肛門に病変が生じると、肛門周囲に膿がたまったり(肛門周囲膿瘍)、直腸と肛門の周囲に穴が開いたり(痔瘻)することもあります。

慢性的に症状が進みます

腸管に炎症が起こると、まずは浅い粘膜のただれ(びらん)が起こります。次に深い粘膜のただれ(潰瘍)となり、さらに腸管に穴が開いたり(瘻孔)、狭くなったり(狭窄)して、慢性的に症状が進んでいきます。

薬による治療で症状が抑えられない場合は、手術を行うこともあります。

<参考>『クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識』難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)

文/おいしい健康編集部

東京医科歯科大学消化器内科
潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長
長堀正和先生

東京医科歯科大学卒業。米国マサチューセッツ総合病院などを経て、2020年4月より現職。専門は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群。炎症性腸疾患の発症に関する疫学研究がテーマ。厚生労働省科学研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班のメンバーでもある。

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長 長堀正和先生

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