痛風にかかった歴史上の人物は多く、マケドニアのアレクサンダ-大王や神聖ロ-マ帝国皇帝のカルロス五世、フランスのルイ十四世などが痛みに苦しんだといわれています。このように痛風はとても古くから知られた病気です。
関節が腫れあがり、とっても痛い痛風発作。どうして動けないほどの激しい痛みが起こるのか、気になるところですよね。
さらに尿酸値が高いと、痛風以外にも様々な症状が現れることがあります。
そこで、痛風が起こる仕組みや、尿酸値が高くなると他にどのような症状が起きるか、説明します。
白血球が尿酸の結晶を攻撃して激痛に
尿酸の濃度が高い状態が長く続くと、体液に溶けなくなった尿酸が結晶になり、関節やその周辺に溜まってきます。ここで登場するのが、異物の侵入から体を守る役割をする「白血球」。痛風発作は、尿酸の結晶に白血球が反応し、異物とみなして攻撃するために起こります。
痛みが起きるのは足の親指の付け根が大半。そのほか、足関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、重症になると膝関節、手関節に症状が出ることもあります。
尿酸値が7.0mg/dLを超えると必ずすぐに痛風が起きるわけではないので、「尿酸値が高くても、痛風にならない人もいる」と考えている方がいます。
しかし、尿酸値が高い状態が続けば、いずれは痛風が起きる可能性が高くなります。
痛風発作は体からのSOS
痛風発作はとてもつらいものですが、1〜2週間程度でおさまることが多く、痛みを我慢して、治まったらそのまま放置する人もいるようです。
しかし、治療せずにいると再発を繰り返し、発作の間隔が短くなりがちに。
それだけではなく、痛風結節や尿路結石といった病気になったり、時には命に関わる病気につながる場合があります。
痛風結節は、尿酸の結晶が関節以外の皮膚の下にたまってできる「かたまり」のこと。手の指、ひじ、かかと、アキレス腱などにできて、関節が動かしづらくなります。重症の痛風のサインです。
腎臓も尿酸がたまりやすいところ。結晶が腎臓にたまると腎臓の機能が落ちてしまったり、尿酸が固まって「尿路結石」ができてしまいます。
さらに高尿酸血症が進むと、心筋梗塞や狭心症といった命にかかわる病気のリスクが高まります。
尿酸値が高いと本当に問題になるのは、痛風だけではなく全身の合併症です。痛風の発作は「尿酸が体に溜まっているので、治療が必要です」という、体からのSOSと捉えてください。
よくある思い違い②尿酸値が高くても痛風にならない人がいる
高い尿酸値が持続することで痛風を発症します。尿酸値が高ければいずれ痛風を発症する可能性があります。
<参考>日本痛風・核酸代謝学会・編集『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』(診断と治療社)
<参考>山中寿・著『尿酸値を下げたいあなたへ』(保健同人社)
<参考>痛風・尿酸財団HP「痛風の歴史」「痛風の原因は?」
<参考>日本整形外科学会HP「痛風」
<参考>Minds版やさしい解説 図解 高尿酸血症・痛風
<参考>eヘルスネット(厚生労働省)高尿酸血症
文/おいしい健康編集部