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2021.1.28 更新

軽い有酸素運動がおすすめです

医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長 国際医療福祉大学医学部教授

山中 寿先生

痛風の対策として何か運動を始めようと考えている方や、既によく運動しているという方がいるかもしれません。
尿酸値を下げるには肥満の解消が効果的なので、体を動かすこと自体はいいことです。ただし、激しい運動をすると尿酸値は一時的に急上昇してしまいます。
ではどんな運動をすればいいのでしょうか。尿酸値を上げずに肥満を解消する運動について、説明します。

激しい運動はしなくて大丈夫

筋トレや短距離走のような激しい運動は、体内で作られるプリン体の量を増やし、尿酸を排せつする働きを抑えてしまいます。
ですから、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動がおすすめです。
有酸素運動を脈が早くなる程度に、少なくとも10分以上の運動を1日あたり計30〜60分程度行いましょう。
仕事が忙しく運動する時間がないという人は、エレベーターより階段を使う、バスに乗らずに歩くなど、こまめに体を動かすことでも効果が期待できます。

極端な食事制限は必要ありません

急に痩せようとして無理な運動をしたり、絶食などの極端な食事制限をしたりすると、かえって一時的に尿酸値が上がってしまいます。絶食で尿酸値が上がるのは、体脂肪がエネルギーとして利用されることによってケトン体という物質ができ、腎臓からの尿酸の排せつが抑えられるためです。運動、食事ともに極端な行動は尿酸値を上げてしまいます。
個人の社会的行動の分類に「タイプA行動パターン」という考え方があります。タイプAの人は行動力があって競争心が強く、ストレスにさらされやすい人で、心筋梗塞などの病気になりやすいとされています。痛風の患者さんにもタイプAの傾向が強くみられます。※1
ストレスが尿酸値を上げるかはまだわかっていませんが、ストレスを解消しようとして激しい運動や、暴飲暴食をすれば尿酸値に影響します。のんびり過ごす、体に優しいストレス解消法を探してみませんか。

よくある思い違い⑨運動すれば尿酸値は下がる
激しい運動をすると尿酸値が一時的に急上昇します。極端な行動は尿酸値上昇につながります。

<参考>日本痛風・核酸代謝学会・編集『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』(診断と治療社)

<参考>山中寿・著『尿酸値を下げたいあなたへ』(保健同人社)

※1 山中寿ほか:痛風患者におけるタイプA行動パターンの検討.Gout and Nucleic Acid Metabolism 23 No. 1:23-32,1999

文/おいしい健康編集部

医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長
国際医療福祉大学医学部教授
山中 寿先生

1980年三重大学医学部卒業。83年東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター助手、85年米国スクリプス研究所研究員、91年東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター講師、97年同助教授、2003年同教授、08年同所長。20年より現職。

医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長 国際医療福祉大学医学部教授 山中 寿先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。