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2021.1.15 更新

尿酸値が高いとはどのような状態ですか?

医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長 国際医療福祉大学医学部教授

山中 寿先生

健康診断で「尿酸値が高い」と言われていたけれど、仕事が忙しくて放置していた。ある日突然、足の親指のつけ根に激痛が走った…。

尿酸値が高くなると、症状の一つとして、こんなふうに激しい炎症が関節に起こる「痛風」の発作が起きることがあります。
痛風の発作を起こしたことがある方は、もう二度と経験したくないと思われていることでしょう。

痛風を起こさないようにするには、体の中でプリン体から尿酸が作られ、排せつされる仕組みを正しく理解することが助けになります。
まずはプリン体や尿酸とは何か、尿酸値が高いとはどういう状態かを説明します。

体の中には「尿酸プール」があります

尿酸とは「プリン体」という物質の老廃物で、通常は血液の中と尿の中に溶けていて、尿や便、汗から体の外に排せつされます。

近頃は「プリン体ゼロ」「プリン体カット」を掲げた商品が売られていることもあり、「プリン体はからだにとって悪い物質」と考えている方も多いのではないでしょうか。
悪者と考えられがちなプリン体ですが、すべての生物の細胞にあるDNA、RNAの主な成分です。実はヒトが生きる上で不可欠な物質なのです。

「プリン体は食べ物から摂取するもの」というイメージがあるかもしれませんが、食事からのプリン体は全体の2〜3割程度。
残りの7〜8割のプリン体は、エネルギー代謝・新陳代謝によって体の中で作られています。
いずれも肝臓で分解されて毎日、体の中で一定の量(通常は毎日約700mg)の尿酸が生まれます。

では、尿酸を排せつする仕組みはどうなっているのでしょうか。
体全体から排せつされる尿酸の量は1日合計約700mg。その7割程度は尿から排せつされ、残りの約3割が便や汗から排せつされます。
つまり健康な人の場合、体の中で尿酸が作られる量と、排せつされる量はほぼ同じです。
体の中には常に一定の量の尿酸が保たれていて、これを「尿酸プール」といいます。
尿酸プールは正常な人の場合、1200mg程度とされています。

この尿酸プールの仕組みを知っておくことが、痛風などの症状を防ぐ上で鍵になります。

高尿酸血症とはどんな状態ですか?

尿酸の作られる量と体の外に出ていく量は通常、バランスが保たれています。
しかし、尿酸が体の中で増えすぎてしまい、血液の中に含まれる尿酸の濃さが7.0mg/dLを超えると、「高尿酸血症」と呼ばれます。

高尿酸血症には、大きく3つのタイプがあります。

(1)尿酸産生過剰型

体内で尿酸が多く作られるタイプ

(2)尿酸排せつ低下型

尿で排せつされる量が少ないタイプ

(3)腎外排せつ低下型

尿(腎臓)以外から排せつされる量が

少ないタイプ

このほか、いくつかの型が混ざっている「混合型」があります。

プリン体は悪者ではありません

プリン体や尿酸プールの仕組みを知ると「プリン体は悪者である」という考え方は思い違いであることがわかりますね。
尿酸や痛風については、こんなふうに病気に対する誤った思い込みがよく見受けられます。
そこで「痛風・高尿酸血症の食事のきほん」では項目ごとに、よくある思い違いと実際のところを紹介していきます。

よくある思い違い①プリン体は悪者である
すべての生物の細胞にあるDNA、RNAの半分はプリン体であり、プリン体がなければ生きていけません

<参考>日本痛風・核酸代謝学会・編集『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』(診断と治療社)
<参考>山中寿・著『尿酸値を下げたいあなたへ』(保健同人社)
<参考>Minds版やさしい解説 図解 高尿酸血症・痛風
<参考>eヘルスネット(厚生労働省)高尿酸血症

文/おいしい健康編集部

医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長
国際医療福祉大学医学部教授
山中 寿先生

1980年三重大学医学部卒業。83年東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター助手、85年米国スクリプス研究所研究員、91年東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター講師、97年同助教授、2003年同教授、08年同所長。20年より現職。

医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長 国際医療福祉大学医学部教授 山中 寿先生

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