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2022.3.15 更新

更年期に心がけたい食生活

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス  対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長

対馬ルリ子先生

更年期は、これまで以上に食生活に気を配りたいもの。体に生じるさまざまな不調をサポートするには、どのようなことを心がけたらいいのでしょうか?

生活習慣を整えて不調を予防

更年期症状は女性ホルモンの減少だけでなく、人それぞれの気質や体質、生活環境が深く関係しています。若い頃は女性ホルモンの応援があったため、少々不摂生をしても乗り越えられたかもしれませんが、更年期になるとそうはいきません。自分の持っている弱い部分に不調が出やすくなり、心身ともに揺らいでしまいます。そのため、まずはこれまでの生活習慣を見直し、整えることが大事です。

ポイントは「食事」「運動」「睡眠」。なかでも基本となるのは食事です。食事は、どの栄養素をとるかも大事ですが、とった栄養素の効果を十分に得るために、しっかり消化吸収できるかどうかも重要です。コツは、食べ方や食事のタイミングにあります。

規則正しくバランスのよい食事を

食べたものをきちんと消化吸収できる食べ方が、更年期に負けない体をつくる基本です。なかでも一番大切なのは、規則正しい食事です。

なるべく軽い食事にしましょう。軽めの食事やおやつを分食にすることで、食後の急激な血糖値の上昇を防ぐ効果があります。実は女性には、健康診断の空腹時血糖値では異常がないけれど、普段の食後の血糖値が高い「隠れ高血糖」が多いのです。血糖値がいったん急上昇した後は、インスリンが大量に分泌されるため低血糖に陥ります。夕方になると生じるイライラや頭痛、気持ち悪さ、冷や汗といった更年期の不調は、もしかしたら低血糖が引き起こしているかもしれません。

夜中に悪夢を見て目が覚めるのも、寝る前に糖質の多い食事をしたことによる低血糖症状という可能性があります。食べる順番を野菜→たんぱく質→炭水化物という「ベジファースト」に変えるのも、血糖値の急激な上昇を防ぐことになるので、ぜひ試してみてください。

食事をするときは、きちんと時間をとって味わいながら、楽しんで食べることも大事です。同じものでも、よく噛まずに飲み込んだのとでは、消化吸収のレベルがまるで違います。朝食も、胃腸が動き出し、消化吸収や血流がよくなるスイッチになるので欠かさないようにしてください。

更年期は太りやすくなるかもしれませんが、無理なダイエットをするのはやめましょう。必要な栄養素が不足し、更年期症状を悪化させることになりかねません。

食材は、新鮮な魚や色の濃い野菜、玄米やライ麦パンなど精製されていない穀物を選ぶようにするといいでしょう。更年期の女性に圧倒的に不足しているたんぱく質やミネラル、ビタミンをふんだんにとることができます。また、細胞を活性化させるために、良質な脂質をとることも忘れないようにしましょう。魚の脂(EPA・DHA)、えごま油、しそ油、オリーブオイルなどがおすすめです。

いつも同じ食材を食べるのではなく、いろいろな食材を使った食事をすることが、栄養バランスをとる最大のコツです。

<参考>日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会編集「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」

​​<参考>対馬ルリ子監修「プレ更年期1年生」(つちや書店)

<参考>対馬ルリ子、南雲久美子監修「Dr.クロワッサンハンディBOOK更年期をのりきる食べ方」(マガジンハウス)

文/綾城和美

編集/おいしい健康編集部

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス 
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長
対馬ルリ子先生

産婦人科医師、医学博士。1984年弘前大医学部卒。東京大学産婦人科学教室助手、都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長を経て、2002年ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(現・対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座)開院。産婦人科、内科、乳腺外科、心療内科、泌尿器科等で協力し全人的女性医療に取り組む。2003年女性の心と体、社会との関わりを総合的にとらえNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立し理事長に就任。全国約600名の女性医師・女性医療者と連携して活動し、さまざまな情報提供、啓発活動や政策提言を行っている。一般財団法人日本女性財団代表理事、ウィミンズ・ヘルス・アクション実行委員会副代表、一般法人社団日本女性医療者連合副代表。 2017年日本家族計画協会「第21回松本賞」受賞。2017年デーリー東北賞受賞。2018年東京都医師会・グループ研究賞受賞。近著に『「閉経」のホントがわかる本』(集英社・2020年)などがある。

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス  対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長 対馬ルリ子先生

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