具体的に更年期の症状が出ているときは、食事のどんなところに気をつければいいでしょうか? 症状別に解説します。
対処法を知っておけば安心
更年期症状が出たら、下記を参考に食事を見直してみましょう。なかなか改善しない場合は、婦人科を受診しましょう。
●発汗
更年期になると、自律神経のバランスが乱れて、汗のコントロールがうまくいかず、衣類がびしょびしょになるほど汗が出ることがあります。緊張や飲食がひき金になって、ほてりや多汗を引き起こすので、塩辛いもの、カフェイン、アルコール、たばこは控えましょう。食事では緑黄色野菜や、イソフラボンが豊富な大豆製品は、意識的に取り入れましょう。
●ホットフラッシュ
ホットフラッシュとは、潮紅ともいい、自律神経の乱れが原因で、一時的にひどいほてりが出る症状です。顔だけに感じる人もいれば、頭や胸まで広がる人もいます。自律神経を落ち着けるためゆっくり深呼吸したり首すじを冷やします。冷たいものよりも常温のものを飲むようにしましょう。
●冷え
更年期になると、上半身はほてっているのに、下半身は冷えるという人もいます。冷えは不眠、肩こり、腰痛、肌荒れなどの不調にもつながるので、芯を温めることが大事です。サラダよりも、温野菜やスープにしてとるといいでしょう。
●むくみ
むくみは細胞外に水分が逃げることが原因ですが、たんぱく質不足、塩分のとり過ぎ、筋肉の減少、運動不足などでひどくなります。抹消から循環をよくすることが大切なので、水分を控えるのは効果的ではありません。水分をしっかりとって、しっかり排出することを心がけましょう。塩分(ナトリウム分)のとり過ぎにも注意してください。カリウムやマグネシウム、カルシウム、亜鉛、ケイ素などを含む、きゅうり、なす、小豆、かぼちゃなどの食材を取り入れるのがおすすめです。
●めまい
めまいには、自分や周囲がぐるぐる回る「回転性めまい」と、体がふわふわする「浮動性めまい」があります。睡眠不足やストレス、食生活が乱れると血流が悪くなり、めまいが起きやすくなるので、まずは規則正しい生活を心がけましょう。血流をよくするビタミンEが豊富なかぼちゃやブロッコリー、疲労回復効果のあるビタミンB群が含まれるうなぎやレバーを取り入れてみてください。
●耳鳴り
耳の内部の「内耳(ないじ)」が興奮して、鳴っていないのに音の信号を脳に送ってしまうことが原因と考えられる耳鳴り。脳の疲れが関係していることも指摘されています。喫煙やカフェインの過剰摂取はその危険因子なので、禁煙・減煙し、カフェインは控えめに。アルコールも眠りの質を下げて脳の疲労を蓄積するので、寝酒はおすすめできません。禁酒がストレスになるなら、お酒を飲むのは1日おきにするなど、できることから始めてみましょう。
●物忘れ
エストロゲンの減少によって脳の働きが悪くなり、物忘れの症状があらわれることがあります。女性は男性に比べてアルツハイマー型認知症の発症率が高いので、早いうちから対策を始めましょう。脳の老化防止には、DHAやEPAといったω−3(オメガ3)系の脂質をとるのがおすすめです。さば、いわし、さんまなどに含まれるので、取り入れてみてください。なお、カフェインやアルコールは症状を悪化させる可能性があるので、控えましょう。
●白髪・抜け毛
「美容ホルモン」であるエストロゲンが減少すると、髪が老化し、白髪や抜け毛が増えます。髪の基本成分「ケラチン」の主成分となるたんぱく質を含む、鶏肉や魚介類を取り入れましょう。また、髪の再生を促す亜鉛やマグネシウムは、かきや豚レバー、海藻類に含まれています。ビタミンが豊富な緑黄色野菜や果物も摂取しましょう。
●肌の乾燥
「美容ホルモン」と呼ばれ、コラーゲンの生成を助ける働きのあるエストロゲン。その分泌が活発なころの若い肌は潤っていますが、減少し始めると乾燥しやすくなります。肌に潤いを与えるコラーゲンと、コラーゲンの生成を助けて肌の乾燥を予防するビタミンCを積極的にとりましょう。コラーゲンを多く含むのは手羽先や豚肉、ビタミンCが豊富なのはブロッコリーやほうれん草です。喫煙は肌の乾燥と老化を進めてしまうので、禁煙をおすすめします。
<参考>日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会編集「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」
<参考>対馬ルリ子監修「プレ更年期1年生」(つちや書店)
<参考>対馬ルリ子、南雲久美子監修「Dr.クロワッサンハンディBOOK更年期をのりきる食べ方」(マガジンハウス)
文/綾城和美
編集/おいしい健康編集部