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2022.3.15 更新

女性ホルモンの働きを支える栄養素

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス  対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長

対馬ルリ子先生

女性ホルモンが減少する更年期には、女性ホルモンの働きを支える栄養素や、女性ホルモンがなくなることで表れる不調に役立つ栄養素を積極的にとりましょう。

毎日の食卓に少しだけプラス

更年期を健やかに過ごすための、11種類の栄養素をご紹介します。毎日の食卓に少しプラスしたり、欠けているものがあったら補ってみてください。気軽に取り組んでみましょう。

●イソフラボン
大豆や大豆製品に多く含まれる成分の一種で、体内で女性ホルモンに似た働きをします。
更年期のホットフラッシュや、骨粗しょう症に有効であることが示唆されています。
【含まれる食材】豆乳、納豆、厚揚げ、豆腐、ゆで大豆、きな粉、高野豆腐、油揚げ、みそ、おからなど

●カルシウム
骨や歯の材料となる栄養素。更年期になると骨密度が落ちて骨粗しょう症になりやすいので、積極的にとりましょう。体内吸収率が高いのは乳製品です。
【含まれる食材】牛乳、プロセスチーズ、ヨーグルト、スキムミルク、ししゃも、厚揚げ、がんもどき、桜えびの素干し、小松菜、乾燥ひじきなど

●ビタミンC
更年期に不足しがちなコラーゲンの生成を助けて、皮膚や粘膜の乾燥を予防します。肌のかゆみや湿疹、ドライアイやドライマウスを予防する働きも期待できます。また、ストレスに対抗するホルモンの合成もサポート。抗酸化作用があるので、免疫力を助けたりアンチエイジングにも。
【含まれる食材】パプリカ(赤)、パプリカ(黄)、ピーマン、キウイフルーツ、いちご、ブロッコリー、カリフラワー、レモン果汁、キャベツ、かぼちゃなど

●コラーゲン
皮膚、血管、歯などの組織を構成するたんぱく質の一種で、皮膚の老化改善や、ひざの伸びの改善が認められています。
【含まれる食材】鶏手羽、鶏むね肉、砂肝、スペアリブ、豚レバー、豚ひき肉、牛すじ、フカヒレ、えび、ほたて貝、かれい、マシュマロなど

●ビタミンA
抗酸化作用があるので、免疫力を助ける働きをします。また、細胞の新陳代謝を高めて肌を滑らかにし、髪に艶を与える効果が期待できます。緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンは、主に整腸作用やドライアイの予防につながるといわれています。
【含まれる食材】鶏レバー、豚レバー、銀だら、ほうれん草、モロヘイヤ、にんじん、春菊、にら、菜の花、糸三つ葉など

●鉄
不足すると、貧血になって酸素不足に陥るだけでなく、皮膚や髪、爪が弱くなり、各臓器の働きも鈍くなります。また、なかなか疲れがとれず、イライラすることもあります。体に吸収されやすいのは、野菜に含まれる非ヘム鉄よりも、動物性食材に含まれるヘム鉄です。女性は不足しがちなので、意識的に補いましょう。
【含まれる食材】あさりの佃煮、ひじき、豚レバー、鶏レバー、牛ヒレ肉、牛レバー、枝豆、小松菜、納豆、高野豆腐など

●たんぱく質
筋肉や細胞の材料となる栄養素。不足すると筋肉が落ち、太りやすくなります。また、皮膚細胞がうまくつくり替えられず肌が乾燥しやすくなります。更年期を元気に乗りきるために、さまざまな食材からしっかりとりましょう。
【含まれる食材】鶏ささ身、豚ヒレ肉、かつお、かじきまぐろ、えび、赤身まぐろ、やりいか、あじ、鮭、卵など

●DHA・EPA
魚介類の中でも、さんまやいわしなどの青魚に多く含まれる脂質です。適量を摂取することで心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患の予防になるといわれています。また、中性脂肪値を下げる作用があることが報告されています。
【含まれる食材】さんま、いわし、ぶり、たい、うなぎ、さば、あじ、鮭、かつお、赤身まぐろなど

●食物繊維
便秘解消だけでなく、必要な栄養素を吸収できるよう腸内環境を整えてくれます。さらに、血糖値の上昇を抑えたり、血液中のコレステロール濃度を低下させる機能があります。肥満や生活習慣病の予防にも役立ちます。
【含まれる食材】白いんげん、小豆、おから、寒天、大豆、ごぼう、アボカド、枝豆、切り干し大根、こんにゃくなど

●ビタミンB群
ビタミンB1はブドウ糖をエネルギーに変えるときに必要な栄養素。ビタミンB2は糖質・たんぱく質・脂質の代謝を促し、皮膚・髪・爪などの細胞の再生にも関与しています。このように、ビタミンB群は体内のあらゆる部分に関与しています。とり溜めできないので、毎日の食事でこまめにとりましょう。
【含まれる食材】B1:豚ヒレ肉、うなぎ、大豆 B2:豚レバー、ぶり、納豆など

●ビタミンE
高い抗酸化作用で、老化を進める活性酸素を退治。血流促進の作用があり、血中のLDLコレステロールの酸化を抑えたり、血管を健やかに保つ効果が期待できます。
【含まれる食材】アーモンド、うなぎの蒲焼き、ツナ油漬、モロヘイヤ、たらこ、かぼちゃ、かじきまぐろ、アボカド、ピーナッツ、サフラワー油など

<参考>日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会編集「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」

​​<参考>対馬ルリ子監修「プレ更年期1年生」(つちや書店)

<参考>対馬ルリ子、南雲久美子監修「Dr.クロワッサンハンディBOOK更年期をのりきる食べ方」(マガジンハウス)

文/綾城和美

編集/おいしい健康編集部

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス 
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長
対馬ルリ子先生

産婦人科医師、医学博士。1984年弘前大医学部卒。東京大学産婦人科学教室助手、都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長を経て、2002年ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(現・対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座)開院。産婦人科、内科、乳腺外科、心療内科、泌尿器科等で協力し全人的女性医療に取り組む。2003年女性の心と体、社会との関わりを総合的にとらえNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立し理事長に就任。全国約600名の女性医師・女性医療者と連携して活動し、さまざまな情報提供、啓発活動や政策提言を行っている。一般財団法人日本女性財団代表理事、ウィミンズ・ヘルス・アクション実行委員会副代表、一般法人社団日本女性医療者連合副代表。 2017年日本家族計画協会「第21回松本賞」受賞。2017年デーリー東北賞受賞。2018年東京都医師会・グループ研究賞受賞。近著に『「閉経」のホントがわかる本』(集英社・2020年)などがある。

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス  対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長 対馬ルリ子先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。