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2021.6.2 更新

脂肪は体調と相談しながら

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長

長堀正和先生

前回は、自分の体質に合う、合わない食品を見つけることが重要ということを紹介しました。今回は実際におすすめのレシピを紹介しながら、食事療法の注意事項について学んでいきましょう。

1日30g未満は厳守しなくていい

クローン病では一般的に、1日に摂取する脂肪は30g未満が推奨されています。
かつては栄養療法しかなす術がなかったため、“1日の脂肪摂取量が30gを超えると再燃率が高まる“という研究報告をよりどころに、1日30g未満の制限がすすめられてきました。

しかし、近年になり生物学的製剤など効果的な治療薬が出てきたため、1日30g未満をすすめる強い科学的根拠は乏しいと考えられています。

特に制限のない通常の食生活では、1日60〜80gほどの脂肪を摂取します。1日30g未満となると約半分か、それ以下。脂溶性ビタミンが不足することも心配ですし、食べ盛りの子どもにはストレスになる可能性もあります。
脂肪の種類もいろいろありますので、体調に応じて栄養バランスの良い食事を摂ることが大切です。

脂肪を抑えた料理のレシピ




レシピ監修/東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部 斎藤恵子先生(管理栄養士)

連日の脂肪の摂りすぎには注意を

体調によっては、脂肪を多く摂りすぎると、腹痛や下痢などを引き起こすことがあります。
なるべく脂肪を摂り過ぎる日が続かないよう、工夫しましょう。
食事会や旅行などのイベントが控えているときは、必要に応じて脂肪の摂取を控えるなどして調整を。

また、外食メニューには脂質を多く含むものが多いため、たまに利用する程度にするといいでしょう。メニューに栄養成分表示のあるお店を選び、脂質量を比較しながら選ぶといいですね。

<参考> 『炎症性腸疾患患者さんの食事についてQ&A』難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)

<参考> 『クローン病・潰瘍性大腸炎の安心ごはん』女子栄養大学出版部

文/おいしい健康編集部

東京医科歯科大学消化器内科
潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長
長堀正和先生

東京医科歯科大学卒業。米国マサチューセッツ総合病院などを経て、2020年4月より現職。専門は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群。炎症性腸疾患の発症に関する疫学研究がテーマ。厚生労働省科学研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班のメンバーでもある。

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長 長堀正和先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。