06

2021.6.2 更新

食物繊維とエネルギー量の考え方

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長

長堀正和先生

前回は、脂肪のとり方を解説しましたが、次は食物繊維とエネルギー量についてです。

狭窄がある場合は食物繊維量に注意

クローン病では一般的に、食物繊維が多い食事(残渣が多い食品)は避けるようにといわれています。けれど「04 寛解を維持するための食事」で解説したように、低残渣食が病気を改善させるという科学的な根拠は必ずしも十分ではありません。

消化管に狭いところ(狭窄)がある場合には、腹痛などの症状が出やすいので避けましょう。

しかし、狭窄がなく、寛解期にある場合は、水溶性食物繊維を多く含む野菜や果物を積極的に食べましょう。特に便通がよくない患者さんなどには、有用な場合があります。さらには腸内細菌叢を整える効果も期待できます。

自分に必要なエネルギー量を摂りましょう

活動期には炎症によりエネルギー消費量が増えるため、一般的にクローン病患者さんの食事では高カロリーであることが推奨されてきました。
しかし、活動期にあっては運動量が減っている場合は、必ずしも高カロリーでなくていいという考え方になってきています。
個人差が大きい病気ですので、管理栄養士とよく相談することが大切です。

適正な体重を維持することが大切

エネルギー量が足りているかどうかは、体重変動が重要な指標になります。摂取するエネルギー量が多ければ体重は増え、消費量が多ければ体重は減少します。

「04 寛解を維持するための食事」では、食事記録をつけることをおすすめしました。毎日の食事記録と同時に、体重も計測し記録しましょう。

標準的な体重、または体調が安定しているときの体重を基準として、体重変動がないことが目安になります。

<参考>『炎症性腸疾患患者さんの食事についてQ&A』難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)

文/おいしい健康編集部

東京医科歯科大学消化器内科
潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長
長堀正和先生

東京医科歯科大学卒業。米国マサチューセッツ総合病院などを経て、2020年4月より現職。専門は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群。炎症性腸疾患の発症に関する疫学研究がテーマ。厚生労働省科学研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班のメンバーでもある。

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長 長堀正和先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。