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2022.3.15 更新

女性ホルモンの減少が影響する症状や病気

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス  対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長

対馬ルリ子先生

女性の体をあらゆる側面から守ってくれる女性ホルモン。それが減少する更年期には、心身にさまざまな不調があらわれます。正しい知識を持って、予防・改善していきましょう。

更年期の症状は人によってさまざま

更年期の症状としてよく知られているのは、自律神経の乱れによる「ホットフラッシュ、のぼせ、発汗、冷え、冷えのぼせ(上は暑くて下は寒い)、動悸、息苦しさ、手の震え、めまい」などです。睡眠の質も悪くなり、「寝つきが悪い、眠りが浅い、早く目が覚める」といった症状が出やすくなります。また、疲れやすくなり、「仕事から帰ると座り込んでしばらく動けない」「晩ご飯の後片づけは、いったんソファで寝てから」といった人もいるようです。体のあちこちが痛くなって、「手指の関節がこわばる、指が痛くて握れない、足をついたときに痛む、ひざがこわばる、腕がビリビリ痛い、腕がしびれる」といった症状を感じる人もいます。

気分の変調も多く、ちょっとしたことでイライラしたり、理由もなく落ち込んだり、情緒不安定になることから、夫や同僚とのコミュニケーションに影響が出てしまうこともあります。意欲が低下して、やる気が出なくなることもあります。

さらに、それまで守られてきた肌や髪の若々しさが失われ、シミ、シワ、たるみ、抜け毛、白髪が増えるなど、見た目にも変化を感じ始めます。

これらの症状は、女性ホルモンの減少が主な要因ですが、もともと持っている気質や体質、生活環境も絡み合うので、症状や度合い、不調を感じるタイミングは人によってさまざまです。

【代表的な更年期症状】
●体の不調
のぼせ、ほてり、発汗、ホットフラッシュ、冷え、冷えのぼせ、動悸、息切れ、息苦しさ、のどのつかえ、胸のつまり、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、腰や背中の痛み、関節痛、筋肉痛、手指のしびれやこわばり、むくみ、皮膚の乾燥やかゆみ、目・鼻・口・膣周りなど粘膜の乾燥、膣炎、性交障害、消化不良、食欲不振、吐き気、便秘、下痢、腹満、頻尿、尿もれ、睡眠障害、物忘れ、疲労感、倦怠感など
●心の不調
イライラ、落ち込み、不安感、情緒不安定、焦燥感、意欲・集中力・判断力の低下など
●見た目の変化
肌の乾燥やくすみ、シミ・シワ・たるみ、白髪・抜け毛、太りやすさ、爪の筋・割れやすさなど

更年期以降に気をつけたい病気があります

更年期を過ぎると、つらい症状は少なくなっていきます。しかし、それまで体を守ってくれていたエストロゲンの恩恵にあずかれなくなるため、さまざまな病気にかかりやすくなります。

例えば、脳機能が低下し、記憶力や集中力が下がるだけでなく、アルツハイマー型認知症を発症しやすくなります。実は女性は男性に比べて、3倍ほど認知症になるリスクが高いことが分かっています。(※)
それは老化に加えて、エストロゲンの減少による脳機能の低下が加味されるためと考えられています。

(※)厚生労働省・平成29年度(2017年)患者調査

エストロゲンがつくられなくなることでコレステロール値が上昇しやすくなり、また、糖尿病や高血圧症などの疾患が増えます。骨にカルシウムをとどめる働きも失われて、骨粗しょう症のリスクが高まります。

更年期以降は、体力がなくなり、免疫が低下するので、がんになるリスクも高まります。とくに40代からは大腸がんや、女性特有の卵巣がんや子宮体がん、乳がんには要注意です。

ほかにも、胃腸の粘膜が萎縮し、胃腸の機能が低下することから、胃炎や逆流性食道炎を起こしやすくなります。また、血管がもろくなって、動脈硬化や心筋梗塞になる可能性が増します。さらに、免疫系が弱くなるため、感染症にかかりやすくなり、リウマチや甲状腺機能低下症といった自己免疫性疾患を発症することも少なくありません。

こうした病気の予防をするためにも、更年期のケアは重要です。不調を減少・緩和させることは、更年期以降の人生を健やかに生き、健康寿命を延ばすための礎にもなります。

【更年期以降に気をつけたい病気】
卵巣がん、子宮体がん、乳がん、大腸がん、脂質異常症、糖尿病、高血圧症、動脈硬化、心筋梗塞、リウマチ、甲状腺機能低下症、骨粗しょう症、アルツハイマー型認知症

<参考>日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会編集「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」

​​<参考>対馬ルリ子監修「プレ更年期1年生」(つちや書店)

<参考>対馬ルリ子、南雲久美子監修「Dr.クロワッサンハンディBOOK更年期をのりきる食べ方」(マガジンハウス)

文/綾城和美

編集/おいしい健康編集部

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス 
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長
対馬ルリ子先生

産婦人科医師、医学博士。1984年弘前大医学部卒。東京大学産婦人科学教室助手、都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長を経て、2002年ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(現・対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座)開院。産婦人科、内科、乳腺外科、心療内科、泌尿器科等で協力し全人的女性医療に取り組む。2003年女性の心と体、社会との関わりを総合的にとらえNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立し理事長に就任。全国約600名の女性医師・女性医療者と連携して活動し、さまざまな情報提供、啓発活動や政策提言を行っている。一般財団法人日本女性財団代表理事、ウィミンズ・ヘルス・アクション実行委員会副代表、一般法人社団日本女性医療者連合副代表。 2017年日本家族計画協会「第21回松本賞」受賞。2017年デーリー東北賞受賞。2018年東京都医師会・グループ研究賞受賞。近著に『「閉経」のホントがわかる本』(集英社・2020年)などがある。

医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス  対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長 対馬ルリ子先生

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