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2021.3.12 更新

腎臓の負担を軽くする減塩

東京医科大学病院 腎臓内科主任教授

菅野義彦

食事で腎臓への負担を軽くする方法として、塩を控えることがあります。手軽にお金をかけず取り組めます。
では、なぜ食塩を減らすと腎臓に良いのでしょうか。また、どのくらい塩分を減らしたらいいのでしょうか。
食塩と腎臓の関係や、目標にしたい食塩相当量について解説します。

食塩が減ると腎臓の負担が軽くなります

どうして腎臓病だと食塩を減らしたほうがいいのでしょうか。
食塩を摂りすぎると、血液中の食塩濃度や浸透圧が高くなります。高くなった食塩濃度や浸透圧を調整するために、喉の乾きを感じて水分摂取することで、からだに入った水分が血液に集まり、その結果、血液の量が増えて血管を流れる圧力が高まります。腎臓は血管が多い臓器なので、血圧が高くなると大きな負担がかかってしまいます。
一方で、血液中の食塩は腎臓から尿中に排せつされるため、食塩を調整するのに腎臓が重要な役割を果たしています。腎機能が低下すると、体から食塩を出すことが困難に。弱った腎臓はがんばって食塩を排せつしなくてはいけないので負荷がかかり、さらに血圧も上がってしまいます。
さまざまな研究からも、食塩の過剰摂取が血圧上昇に関連することが報告され※1、減塩によって血圧が下がることも明らかになっています。
食塩を減らすと腎臓への負担が軽くなり、腎機能だけでなく他の検査値も改善します。

はじめは1日10gを目指しましょう

国が定める1日あたりの食塩の摂取目安量は健康な人の場合、男性7.5g、女性6.5gとされています。※2 ただ、実際の1日あたりの食塩摂取平均量は、18歳以上の男性では10.9g、女性は9.3gと、目標より多いのが現状です。※3 いきなり食塩の量を大きく減らすのは難しいので、例えば平均を大きく上回って15gも20gも食塩をとっている人なら、はじめは1日10g(塩小さじ2杯くらい)程度を目指しましょう。
血圧が高い人、腎機能が落ちている人の場合、食塩は1日6g(小さじ1杯)までとされています。やはり最初からこの数字を目指すのは難しいので、まずはできる範囲で減塩すれば大丈夫です。
「食塩は1日6gまで」などと捉えるより、「1週間で40g程度にする」と考え方を変えれば、減塩を続けやすくなります。
次の章以降は、食事の中で実際に食塩を減らす方法を紹介します。

<参考> 日本腎臓病学会編集「エビデンスに基づく CKD診療ガイドライン2018」(東京医学社)

<参考> 菅野義彦ほか監修「食事療法はじめの一歩シリーズ 腎臓病の満足ごはん」(女子栄養大学出版部)

※1 INTERSALT Cooperative Reseach Group. Intersalt: An International Study of Electrolyte Excretion and Blood Pressure. Results for 24 Hour Urinary Sodium and Potassium Excretion.BMJ.1988;297:319-328.PMID:3416162

※2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

※3 厚生労働省「国民・健康栄養調査(令和元年)」

文/おいしい健康編集部

東京医科大学病院
腎臓内科主任教授
菅野義彦

1991年慶應義塾大学医学部卒業。同大学院医学研究科、米国留学、埼玉社会保険病院腎センター、埼玉医科大学腎臓内科、慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センターを経て、2013年より現職。

東京医科大学病院 腎臓内科主任教授 菅野義彦

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


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