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2021.9.14 更新

腎不全になると尿が作れなくなります

東京医科大学病院 腎臓内科主任教授

菅野義彦先生

腎臓は体の状態を正常に保つためにいろいろな役割を担っていますが、その中でも尿を作るのは、ほかの臓器にはできない重要な仕事。腎臓の機能低下が進むと尿が作れなくなり、日常生活に支障をきたすようになります。

腎臓は尿を作っています

腎臓の主な働きは、血液をろ過して尿を作る、体内の水分量をコントロールする、ホルモンを分泌することなどです。体の状態を正常に保つためにさまざまな働きをしているのですが、最も重要な役割は、尿を作って体内の老廃物や余分な水分を捨てること。これは腎臓にしかできない役割です。つまり、腎臓は「尿を作る臓器」なのです。

血液は尿を作る材料となるもので、心臓から動脈を通って腎臓に送られてくる血液には、不要な物質(老廃物や余分な水分)がたくさん含まれています。腎臓は、送られてきた血液から不要な物質を尿に移し、体外に排出します。尿を出すことで、体内の水分量の調整も行っています。

腎機能の低下が進むと腎不全に

腎臓の機能が低下すると、尿を作ることができなくなってしまうため、血液中に老廃物がたまってしまったり、余分な水分を排出できなくなったりして、体のバランスが保てなくなります。この状態を「腎不全」と呼びます。腎不全になると、むくみ、疲労感・息切れ、食欲低下・吐き気など身体にさまざまな不調が現れ、悪化すると日常生活に支障をきたすようになります。

腎不全になってしまったら、腎臓の機能を元に戻すことはできません。そのため腎不全になった人には、腎臓の働きを代わりに行う透析療法や、健康な腎臓を提供してもらう腎移植といった「腎代替療法」が必要になります。
治療の開始時期は、腎臓の働きを示す検査値や症状、日常生活への影響などを、医師が総合的に診て判断します。

<参考>菅野義彦 病態監修『透析・腎移植の安心ごはん』(女子栄養大学出版部)

<参考>宮本佳代子 監修『腎臓病 透析患者さんのための献立集 改訂版』(女子栄養大学出版部)

文/東 裕美

東京医科大学病院
腎臓内科主任教授
菅野義彦先生

1991年慶應義塾大学医学部卒業。同大学院医学研究科、米国留学、埼玉社会保険病院腎センター、埼玉医科大学腎臓内科、慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センターを経て、2013年より現職。

東京医科大学病院 腎臓内科主任教授 菅野義彦先生

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