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2021.9.14 更新

血液を取り出し、きれいにして戻す「血液透析」

東京医科大学病院 腎臓内科主任教授

菅野義彦先生

腎臓が通常通りの働きをできなくなったら、「腎代替療法」が必要になります。選択肢は3つありますが、多くの人が選択しているのは、血液を体外に取り出して機械で浄化する「血液透析」です。

自分の生活にあった治療を選択

「腎代替療法」には、血液透析、腹膜透析、腎移植の3つの選択肢があります。医学的な条件で治療法が限られる場合を除き、患者さんの生活に合わせて治療法を決めることができます。週3回通院する血液透析を選択する人が多いですが、自宅での治療が可能な腹膜透析を選ぶ人もいます。また、まず腹膜透析を行って数年後に血液透析に変更したり、2つの透析を併用したりすることも可能です。生活に合わせていろいろなパターンで透析療法を受けることができるので、自分の生活の中で何を優先するのかを考え、主治医とよく話し合い、治療法を選択しましょう。

血液透析とは?

血液透析とは、体の中から血液を取り出し、血液に含まれる不要なもの(老廃物や余分な水分)を取り除き、きれいになった血液を身体に戻す治療法です。
2本の針を腕の血管に刺してチューブにつなぎ、ポンプで体内の血液を出し入れします。ポンプで出された血液は「ダイアライザー」というフィルターを通ってきれいにされてから、体内に戻ります。
週3回程度、透析施設に通って行い、1回の治療にはだいたい4時間程度必要です。
血液透析では大量の血液を短時間で体内から出し入れするため、血液透析を開始する前に、手首の動脈と静脈をつなぐ手術を行い、「シャント」と呼ばれる太い血管を作る必要があります。手術と言っても大きなものではなく、局所麻酔で行うので、日帰りでも行うことが可能です。

<参考>菅野義彦 病態監修『透析・腎移植の安心ごはん』(女子栄養大学出版部)

<参考>宮本佳代子 監修『腎臓病 透析患者さんのための献立集 改訂版』(女子栄養大学出版部)

文/東 裕美

東京医科大学病院
腎臓内科主任教授
菅野義彦先生

1991年慶應義塾大学医学部卒業。同大学院医学研究科、米国留学、埼玉社会保険病院腎センター、埼玉医科大学腎臓内科、慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センターを経て、2013年より現職。

東京医科大学病院 腎臓内科主任教授 菅野義彦先生

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