透析で除去できないリンが体内にたまっていくと「高リン血症」となり、骨がもろくなったり、動脈硬化の原因になったりします。「高リン血症」を防ぐために、リンの摂取量が1日900㎎以下になるような食生活を心がけましょう。
リンは1日900mg以下に
リンは細胞を構成したり、活動のエネルギー源になったりする物質ですが、腎機能が低下すると、余分なリンが体内にたまっていきます。リンは体の中でカルシウムと結合する性質があり、体内のリンが多くなると骨を溶かしてカルシウムを確保しようとします。そのため、「高リン血症」になると骨がもろくなってしまうのです。
また、リンとカルシウムが結合して血管内に蓄積すると、動脈硬化などの原因になることもあります。
これらを予防するために、血液透析を行っている人は、リンを1日900mg以下に抑えることを目標にしましょう。
肉や魚などに多く含まれています
リンは肉、魚介、卵、大豆製品、乳・乳製品など、たんぱく質の供給源になる食材に多く含まれています。透析治療を行っている人は、たんぱく質をしっかりとる必要がありますが、肉や魚などを食べると、リンも摂取することになるのです。特に、シシャモ、しらす干しなど骨ごと食べる魚や乳製品、ソーセージなどの加工品はリンを多く含むので注意しましょう。リンはカリウムのように調理方法で減らすことができないので、摂取量を減らすしかありません。
リンの制限は複雑で難しいため、管理栄養士にこまめに相談し、とり方の指導を受けることをお勧めします。食事に注意しても過剰になってしまう場合は主治医に相談し、薬でコントロールする必要もあります。
食品添加物として含まれるリンにも注意
加工食品やインスタント食品、スナック菓子、清涼飲料水などには、食品添加物としてリンが含まれることがあります。これらを頻繁に飲食するのは控え、食べる場合もごく少量に抑えてください。
<参考>菅野義彦 病態監修『透析・腎移植の安心ごはん』(女子栄養大学出版部)
<参考>宮本佳代子 監修『腎臓病 透析患者さんのための献立集 改訂版』(女子栄養大学出版部)
文/東 裕美