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2020.10.15 更新

脂質異常症と分かったら生活習慣を見直すチャンス

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

木内謙一郎先生

コレステロールや脂質異常症について理解したら、「どうすれば検査値を改善できるのか?」が気になることと思います。

脂質異常症の治療には大きく分けて、生活習慣の見直しと薬による治療があります。治療や予防の基本になるのは、食事や運動を含めた生活習慣の改善です。

症状がない中で、すぐ生活習慣の見直しに取り組む気には、なれないかもしれません。そんな時は「脂質異常症と分かったら、今までの生活習慣を振り返るよいチャンス」と捉えてみてください。

生活習慣の見直しポイント

では検査値を正常範囲にするには、どんなところを見直せばいいでしょうか。具体的なポイントは次の通りです。

◎食事内容を見直す

油脂の種類を選ぶことや、食物繊維をとることなどが大切です。詳しくは「05 主菜は肉、魚、大豆からバランスよく選びます(近日公開予定)」以降で説明します。食塩は男性1日7.5g(小さじ1と1/3強)未満、女性6.5g(小さじ1強)未満を目指しましょう。

◎栄養バランスを整える

バランスの良い食事の基本になるのが「三大栄養素(エネルギー産生栄養素)」と呼ばれる脂質、炭水化物(糖質と食物繊維の総称)、たんぱく質のバランスです。三大栄養素は人間の体を動かすエネルギー源となります。脂質異常症の人の場合は、脂質20〜25%、炭水化物50〜60%、残りをたんぱく質というバランスが推奨されています。

◎アルコールは適量を守る

アルコールと動脈硬化による病気の関係を調べた研究では、少量のお酒であれば種類にかかわらず、心筋梗塞などのリスクにはならないことがわかっています。「少量」とはビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯、日本酒なら1合が1日当たりの目安です。

一方で、アルコールは発癌と関連があり、特にアルコールを代謝する酵素の働きが弱い人は、飲酒により口腔、咽頭、食道などの発癌リスクが上昇することが報告されていますので、注意が必要です。また、大量の飲酒は血液中の中性脂肪が増えてしまいます。飲みすぎた時は、その後の数日は飲酒を控えましょう。

◎運動する

運動によってHDL-コレステロールを増やせることが分かっています。中強度(ややきつい程度)の有酸素運動を1回あたり計30分以上を目標に、週3回以上行うことがおすすめです。中強度の有酸素運動には、軽い順にウォーキング、水泳(ゆっくり泳ぐ)、ジョギング、エアロビクス、サイクリングなどがあります。日常生活で座りっぱなしを避けて、エレベーターより階段を使う、家事を行うなど、こまめに体を動かすことでも効果が期待できます。

◎禁煙する

喫煙や受動喫煙は動脈硬化を進行させる上に、HDL-コレステロールを下げる原因にもなります。

既に動脈硬化による病気になったことがある場合や、糖尿病や高血圧の場合、生活習慣の改善で検査値がよくならない場合などは薬を飲む必要があります。ただし薬を飲んでいても生活習慣が大切であることには変わりません。生活習慣を見直すことで、動脈硬化による病気のリスクを下げることができます。

<参考> 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版

<参考> e-ヘルスネット 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

文/おいしい健康編集部

慶應義塾大学医学部
内科学教室 腎臓内分泌代謝内科
木内謙一郎先生

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科助教。2006年慶應義塾大学医学部卒業。11年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。米国カリフォルニア大学アーバイン校医学部 Center for Epigenetics and Metabolism 博士研究員 (Paolo Sassone-Corsi研究室)を経て、慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 特任助教。20年4月より現職。

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 木内謙一郎先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


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