発症原因が不明の潰瘍性大腸炎は、近年、患者が増加傾向にあります。どのような症状になるのか、詳しくみてみましょう。
発症原因は不明
1970年代は稀な疾患だった潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis 略して「UC」)。今や患者数は約22万人に達し、今後もこの増加傾向が続くと予想されています。*1
未だ発症原因は不明ですが、遺伝的な素因や腸内細菌や食べ物など、さまざまな環境因子が複雑に関与し、免疫に異常をきたすことで発症すると考えられています。*2
主な症状は腹痛、下痢、血便で、完治させる治療法はまだ見つかっていません。
クローン病(Crohn’s Disease 略して「CD」)とともに、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease 略して「IBD」)に属す慢性の炎症性疾患で、厚生労働省から「難病」に指定されています。
寛解と再燃を繰り返すといわれています
潰瘍性大腸炎は完治しない病気ですが、適切な治療が行われれば、「寛解(かんかい)」という、症状が抑えられた状態にまで回復します。
腹痛、下痢、血便などの症状が抑えられ、多くの患者さんが普通の生活を送ることができます。
ただし、いったん「寛解」の状態に回復しても、とくに適切な維持治療が行われないと、再び「再燃」という症状が悪化した状態に戻ることが多々あります。
この「寛解」と「再燃」を繰り返し、腸の炎症が、慢性的に持続するのが潰瘍性大腸炎の特徴です。そのため、生活に不便を感じる患者さんが多く存在します。
いかに「寛解期」(寛解が続いている期間)を持続させるかが、治療のポイントといえます。
30歳代が発症のピーク
潰瘍性大腸炎の患者の男女比はほぼ同じ。発症は30歳代がピークです。
*1『潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識』難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)
*2『炎症性腸疾患(IBD)』日本消化器病学会編(南江堂)
<参考> 糖尿病ガイドライン2018『潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識』難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)
文/おいしい健康編集部