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2021.5.19 更新

脂肪と食物繊維の摂り方のポイント

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長

長堀正和先生

潰瘍性大腸炎は体調によって、脂肪と食物繊維の摂り方に注意が必要です。詳しくみていきましょう。

体調によって脂肪の摂り方に注意

体調の落ち着いている寛解期であれば、バランスの良い食事が基本になります。
下血や下痢、腹痛など明らかに症状があるなど体調が悪いときは、脂肪の摂取を控え、腸管を休めるようにしましょう。
食事会や旅行などのイベントが控えているときは、必要に応じて脂肪の摂取を控えるなどして調整を。
また、外食メニューには脂質を多く含むものが多いため、たまに利用する程度にするといいでしょう。メニューに栄養成分表示のあるお店を選び、脂質量を比較しながら選ぶといいですね。

寛解期には食物繊維の制限はありません

活動期では一般的に「低食物繊維食・低残渣食」が推奨されていますが、その科学的な根拠は必ずしも十分ではありません。

「低食物繊維食」とは、消化・吸収されずに小腸を通って大腸まで達する食品成分・食物繊維の量が少ない食事のこと。
「低残渣食」とは、食べたものがからだに吸収されず、残ったかすが少ない食事のこと。
食物繊維が多い食べ物は、残渣が起こりやすいといえます。

活動期においては、食物繊維の多い食品を摂ったあとに腹痛などの症状が現れることがあるため、体調によっては食物繊維を控えたほうがいいでしょう。

寛解期では特に制限がないので、野菜や果物など水溶性食物繊維が豊富に含まれる食品を積極的に取り入れましょう。特に便通がよくない患者さんなどには、有用な場合があります。さらには腸内細菌叢を整える効果も期待できます。

<参考>『炎症性腸疾患患者さんの食事についてQ&A』難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)

文/おいしい健康編集部

東京医科歯科大学消化器内科
潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長
長堀正和先生

東京医科歯科大学卒業。米国マサチューセッツ総合病院などを経て、2020年4月より現職。専門は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群。炎症性腸疾患の発症に関する疫学研究がテーマ。厚生労働省科学研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班のメンバーでもある。

東京医科歯科大学消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端治療センター センター長 長堀正和先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。