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2020.12.8 更新

食物繊維を摂りましょう

京都府立医科大学附属病院 内視鏡・超音波診療部 部長

内藤裕二先生

食事の内容を見直す際に、知っておきたいのが食物繊維という栄養素。
適正な量を摂ることで、便秘解消へとつながります。

便の量を増やし、かたくなるのを防いでくれます

便秘解消のために、知っておきたい栄養素・食物繊維。
食物繊維の主な働きは、以下になります。

• 便の量を増やしたり、便がかたくなるのを防ぐ
• 不要な物質を吸着し、からだの外へ排泄する
• 腸内の善玉菌を増やす
• 腸を刺激し便通を促す

これまで食物繊維は、大まかに「水溶性」(野菜や海藻、果物などに多く含まれ、水に溶けてドロドロになる)と「不溶性」(穀類や豆類などに多く含まれ、水に溶けず水分を吸収して膨張する)に分けられてきましたが、近年研究が進み、この分類では説明できない機能が報告されるようになってきました。

いずれにせよ、消化酵素ではほとんど消化できずに腸へ届きます。大腸では腸内細菌である善玉菌のエサになり、悪玉菌を減少させる効果があります。

日々の生活では不足しがちな栄養素

食物繊維の適正量とは、いったいどのくらいなのでしょうか?

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準」によると、成人男性で1日に21g以上、成人女性で18g以上となっています。

けれど実際には平均14.4gしか摂れておらず、日本人に不足しがちな栄養素だということがいえます(平成30年「国民健康・栄養調査報告」より)。

食物繊維の食事摂取基準(g/日)

年齢等  男性の目標量 女性の目標量
3〜5歳   8以上   8以上
6〜7歳   10以上   10以上
8〜9歳   11以上   11以上
10〜11歳  13以上   13以上
12〜14歳  17以上   17以上
15〜17歳  19以上   18以上
18〜29歳  21以上   18以上
30〜49歳  21以上   18以上
50〜64歳  21以上   18以上
65〜74歳  20以上   17以上
75歳以上  20以上   17以上
妊婦           18以上
授乳婦          18以上

野菜、きのこ、海藻、豆類などを取り入れてみましょう

それでは、どんな食材に食物繊維が多く含まれているのでしょうか?
食物繊維を摂りやすい代表的な食材を紹介します。1食分の量に対する食物繊維量を算出していますので、参考にしてください。

【穀類】
麦ごはん(押麦3割) 茶碗1杯(150g) 2.3g
玄米ごはん 茶碗1杯(150g) 2.1g
白ごはん 茶碗1杯(150g) 2.3g
ライ麦パン 1枚(60g) 3.4g
食パン(6枚切り) 1枚(60g) 1.4g
そば(ゆで) 1玉(180g) 3.6g
スパゲティ(ゆで) 180g 3.1g
うどん(ゆで) 1玉(200g) 1.6g
【いも類】
里いも(生) 100g 2.3g
さつまいも 100g 2.2g
じゃがいも 100g 1.3g
長いも 100g 1.0g
こんにゃく 50g 1.1g
【豆類・豆製品】
納豆 1パック(50g) 3.4g
おから 50g 5.8g
ゆで大豆 50g 3.3g
絹ごし豆腐 1/3丁(100g) 0.3g
木綿豆腐 1/3丁(100g) 0.4g
【野菜類・海藻類】
かぼちゃ 80g 2.8g
枝豆 50g 2.5g
ごぼう 50g 2.9g
オクラ 50g 2.5g
トマト 100g 1.0g
ミニトマト 100g 1.4g
ブロッコリー 50g 2.2g
大根 80g 1.0g
切り干し大根 10g 2.1g
キャベツ 100g 1.8g
カットわかめ 1g 0.4g
乾燥ひじき 5g 2.6g
焼きのり 1枚(3g) 1.1g
【きのこ類】
しいたけ 50g 2.1g
干ししいたけ 4g 1.6g
えのきたけ 50g 2.0g
エリンギ 50g 1.7g
しめじ 50g 1.9g
まいたけ 50g 1.8g
なめこ 50g 1.7g
【果物】
アボカド 1/2個(70g) 3.7g
いちご 5個(75g) 1.1g
キウイフルーツ 1個(80g) 2.0g
りんご 1/2個(100g) 1.4g
バナナ 1本(100g) 1.1g
柿 1/2個(80g) 1.3g

<参考>『慢性便秘症診療ガイドライン2017』編集 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会(南江堂)
<参考>「日本人の食事摂取基準」2020年版(厚生労働省)
<参考>平成30年「国民健康・栄養調査報告」(厚生労働省)
<参考>「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」(文部科学省)

 文/おいしい健康編集部

京都府立医科大学附属病院
内視鏡・超音波診療部 部長
内藤裕二先生

京都府立医科大学 消化器内科学教室 准教授。京都府立医科大学卒業。2015年より現職。専門は、消化器病学、消化器内視鏡学、消化管学、酸化ストレスと消化管炎症、生活習慣病、腸内微生物叢。国際フリーラジカル学会(SFRR)アジア President、米国消化器病学会(AGA)会員。主な著書に『便秘薬との向き合い方』(金芳堂)、『消化管(おなか)は泣いています』『人生を変える賢い腸のつくり方』(ともにダイヤモンド社)がある。

京都府立医科大学附属病院 内視鏡・超音波診療部 部長 内藤裕二先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。