「ここ数日、便が出ていないな」「便が出にくくて、なんだかすっきりしない…」「最近、便がかたい」。
一般的にこのような状態を「便秘」と言いますが、医学的には便秘ではないことがあります。
便がかたく排便回数が少ないと便秘の可能性があります
「本来体外に排出すべき糞便を、十分量かつ快適に排出できない状態」が医学的な便秘の定義。「便秘」は病名でなく、便が滞っている状態を示す言葉(状態名)であり、医学的には「慢性便秘症」といいます。
では、慢性便秘症とは具体的に、どのような症状をさすのでしょうか?
以下の6項目のうち、2項目以上を満たす場合は「便秘症」の可能性があります。
また、6カ月以上前から症状があり、最近の3カ月間「便秘症」の基準を満たしている場合は「慢性便秘症」かもしれません。
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■あなたの排便は、今どんな状態ですか?*1
※1〜5は、排便の4回に1回以上、当てはまるかどうかを確認してください。
1)強くいきむ必要がある
2)うさぎの糞のようにかたく、コロコロとしている
3)排便してもすっきりしない(残便感)
4)排便が困難
5)排便介助(手で便を取り出す、肛門周辺を圧迫して出すなど)が必要
6)自発的な排便回数が、週に3回未満
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「便がかたい」というのも気になる項目ですが、単に「かたい」といっても感じ方は人それぞれ。自分の今日の便がかたいかどうか、判断がつかないこともあるでしょう。
健康な便の医学的な定義は、表面が滑らかで、やわらかいソーセージ状であること*2。ちなみに、健康な便よりもややかたい、もしくは、やややわらかい便も、健康の範囲とされています。
対して便秘の便は、木の実のようにかたくてコロコロしている、もしくはかたい小さい塊がくっついたようなソーセージ状になります。
排便したときに、便の形やかたさを毎回確認することが、健康への第一歩になりそうですね。
<参考> *1『慢性便秘症診療ガイドライン2017』日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究改 編(南江堂)P6「慢性便秘症の診断基準」を参考し作成 *2『慢性便秘症診療ガイドライン2017』日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究改 編(南江堂)P42「ブリストル便形状スケール」より引用
便秘はほうっておかず、早めに改善しましょう
慢性便秘症は体質だとあきらめて、ほうっておいている人もいるのではないでしょうか。
けれど、お腹が痛い・張る、便意があっても出ない、排便時に肛門に痛みがある、直腸に便が充満している感じがあるなど、しばしば不快な症状を伴うことがあります。これらは生活の質(QOL)の低下を招く原因になります。
毎日を健康的に過ごせない、仕事や生活に支障が出る、気持ちが落ち込むということが起こり得るので、早めに改善に取り組むといいでしょう。
また、市販の便秘薬で便秘の改善を試みている人もいると思います。便秘薬はドラッグストアなどで気軽に手に入るので、長期に渡って使用している人もいるかもしれません。
市販薬ですぐに改善し、添付文書に記載された期間内で使用をやめるのならば問題ないのですが、長期に渡る使用となると、副作用が現れたり、薬がないと便が出ないようになってしまったりすることもあります。
便秘薬の添付文書には必ず「1週間くらい服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医療機関を受診してください」などの注意書きがあります。これを守り、正しく使いましょう。
市販の便秘薬を使っても改善しない場合は、かかりつけ医に相談したり、食生活を含む生活習慣を見直したりして、早めに対策したいですね。
<参考>『慢性便秘症診療ガイドライン2017』編集 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会(南江堂)
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文/おいしい健康編集部