これまでは主に、検査値を改善するため食べすぎに気をつけたいものを紹介してきました。「反対に、積極的に食べたほうがいい食材には何があるの?」と疑問に思った方がいるかもしれません。
脂質異常症の方におすすめしたいのが、「食物繊維」と「ビタミン類」を多く含んだ食材です。食物繊維やビタミン類をおすすめする理由や、毎日の食事に取り入れるためのヒントをお伝えします。
野菜・いも、大豆、海藻・きのこがおすすめです
人間の消化酵素で消化・吸収されず、口から入った後はそのまま大腸まで運ばれ排泄されたり、一部は腸内細菌による分解を受けて短鎖脂肪酸を産生するなどして、消化吸収を促進したり、大腸機能に寄与する成分をまとめて「食物繊維」と呼びます。
食物繊維は水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2つに分けられます。特に水溶性食物繊維は腸でコレステロールの吸収を抑える働きがあるので、食物繊維を含む食材を毎日の食事に積極的に取り入れてみてください。
水溶性食物繊維が多く含まれるのは、玄米などの精製されていない穀類や野菜・いも、大豆、海藻・きのこなど。たとえば野菜サラダを食べるときに大豆や海藻を加えるだけで、手軽に水溶性食物繊維を増やせます。水溶性食物繊維が豊富な食品の食物繊維量(50gあたり)は次のとおりです。
おから(生) 5.7g
大豆(ゆで) 4.3g
納豆 3.4g
ごぼう(ゆで) 3.1g
オクラ(ゆで) 2.6g
しいたけ(ゆで) 2.2g
まいたけ(ゆで) 2.2g
ブロッコリー(ゆで) 1.9g
モロヘイヤ(ゆで) 1.8g
ひじき(ゆで) 1.9g
わかめ(生) 1.6g
いつもの白米をチェンジ
主食を押麦を混ぜたご飯にしたり、胚芽精米など精製度の低いものにしたりすると、1日にとれる食物繊維の量が大きく増やせます。たとえば炊いた白米150gを押麦を2割混ぜた麦ごはん150gにかえると、食物繊維が0.5gから1.5gにアップ。同じように雑穀(あわ、きび、ひえ等)を混ぜても食物繊維の量が増えます。
パンなら同じ量の場合、ライ麦パンのほうが白い食パンに比べて食物繊維の量が多くなっています。麺類であれば、干しうどん100gをゆでた時の食物繊維は1.7gなのに対して、干しそばは3.9gと、より多くの食物繊維が含まれています。
なぜビタミンが大切なのですか?
食物繊維とともに意識してとりたいのが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類です。
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEには活性化した酸素(活性酸素)の作用を抑える効果があります。活性酸素は細胞にとっていい働きもしますが、増えすぎると肝臓のコレステロールを全身に運ぶ「LDL」を変化させて、動脈硬化が進行する原因の一つにもなります。動脈硬化を予防するために食事でビタミン類を積極的にとりましょう。
色の濃い野菜はビタミン類が豊富
ビタミン類は緑黄色野菜に多く含まれています。野菜を食べる量の目安は1日あたり350g以上。そのうち120gは緑黄色野菜から選びましょう。食事ごとに色の濃い野菜を必ず一品は入れるように意識すると、とりやすくなります。
ビタミンAはモロヘイヤやにんじん、かぼちゃ、ほうれん草などに豊富です。
ビタミンCが多い食品は赤パプリカ、キウイフルーツ、ブロッコリー、カリフラワーなど。
ビタミンEはモロヘイヤ、かぼちゃ、赤パプリカ、菜の花などに多く含まれています。
水溶性食物繊維やビタミン類がとれる、野菜のレシピを紹介します。
<参考> 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版
<参考> 七訂 食品成分表 2020
<参考> 生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」(厚生労働省)
「おいしいレシピ」が満載!
詳細はこちら>
文/おいしい健康編集部