痛風の対策として何か運動を始めようと考えている方や、既によく運動しているという方がいるかもしれません。
尿酸値を下げるには肥満の解消が効果的なので、体を動かすこと自体はいいことです。ただし、激しい運動をすると尿酸値は一時的に急上昇してしまいます。
ではどんな運動をすればいいのでしょうか。尿酸値を上げずに肥満を解消する運動について、説明します。
激しい運動はしなくて大丈夫
筋トレや短距離走のような激しい運動は、体内で作られるプリン体の量を増やし、尿酸を排せつする働きを抑えてしまいます。
ですから、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動がおすすめです。
有酸素運動を脈が早くなる程度に、少なくとも10分以上の運動を1日あたり計30〜60分程度行いましょう。
仕事が忙しく運動する時間がないという人は、エレベーターより階段を使う、バスに乗らずに歩くなど、こまめに体を動かすことでも効果が期待できます。
極端な食事制限は必要ありません
急に痩せようとして無理な運動をしたり、絶食などの極端な食事制限をしたりすると、かえって一時的に尿酸値が上がってしまいます。絶食で尿酸値が上がるのは、体脂肪がエネルギーとして利用されることによってケトン体という物質ができ、腎臓からの尿酸の排せつが抑えられるためです。運動、食事ともに極端な行動は尿酸値を上げてしまいます。
個人の社会的行動の分類に「タイプA行動パターン」という考え方があります。タイプAの人は行動力があって競争心が強く、ストレスにさらされやすい人で、心筋梗塞などの病気になりやすいとされています。痛風の患者さんにもタイプAの傾向が強くみられます。※1
ストレスが尿酸値を上げるかはまだわかっていませんが、ストレスを解消しようとして激しい運動や、暴飲暴食をすれば尿酸値に影響します。のんびり過ごす、体に優しいストレス解消法を探してみませんか。
よくある思い違い⑨運動すれば尿酸値は下がる
激しい運動をすると尿酸値が一時的に急上昇します。極端な行動は尿酸値上昇につながります。
<参考>日本痛風・核酸代謝学会・編集『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』(診断と治療社)
<参考>山中寿・著『尿酸値を下げたいあなたへ』(保健同人社)
※1 山中寿ほか:痛風患者におけるタイプA行動パターンの検討.Gout and Nucleic Acid Metabolism 23 No. 1:23-32,1999
文/おいしい健康編集部