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2021.6.10 更新

糖尿病かどうかを調べるHbA1c、空腹時血糖

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長

岡田定先生

健康診断で「糖代謝検査」の結果が「要注意」だったら、どうすればいいでしょうか。
糖代謝とは、食事として摂取したエネルギーをそれぞれの臓器が使って活動し、余分なエネルギーを飢えに備えて蓄え、必要な時に利用するというサイクルのことです。糖代謝の問題を放置していると、糖尿病などの病気につながる可能性があります。
まずは糖代謝検査の結果の見方について知っておきましょう。

長期間の状態が分かるHbA1c

糖尿病とは、インスリンというホルモンの働きや量に問題があり、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が多すぎる状態が続く病気です。ブドウ糖は私たちが体を動かしたり脳で考えたりするエネルギー源になる物質。血糖値の測定方法はいくつかあり、よく使われるのが「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」と「空腹時血糖」です。

HbA1cを調べると、検査した日から過去1〜2カ月間の平均的な血糖値がわかります。HbA1cとは、赤血球の中にあるヘモグロビンというたんぱく質とブドウ糖がくっついたもの。ブドウ糖が多いほど、ヘモグロビンとブドウ糖がくっつきやすくなり、HbA1cが増えます。
そこで検査では、赤血球のうち何%がHbA1cになっているかを調べます。

空腹時血糖は直前の食事で変わりやすい

一方、空腹時血糖検査は、最も低くなる時の血糖値を測定するものです。10時間以上何も食べない状態で採血をします。HbA1cと違い、検査直前の数日間の食事によって変化しやすいのが特徴です。

健診結果はどのように見たらいいでしょうか。
判定の仕方に厳密な決まりがあるわけではありませんが、健診結果の判定は次のような意味が込められています。

・「異常なし」…今回はHbA1cや空腹時血糖に異常がみつからなかったので、次回も健診を受けてくださいという場合です。

・「軽度異常」…すぐに病院に行くほどではないけれど、日常生活を見直したほうがいいという意味です。

・「要経過観察」…急ぎではないけれど、指示された期間内にもう一度検査を受ける必要があります。

・「再検査」…検査結果が基準値を外れているか、異常の疑いがある場合にもう一度検査が必要という意味です。

・「要医療」「要治療」…糖尿病などの病気が疑われるか、明らかな状態なので、医療機関を受診したり治療を受けたりする必要がある場合です。現在、糖尿病で治療中の場合もこちらに含まれることがあります。

糖尿病についてもっと知りたい方は「糖尿病の食事のきほん」をご覧ください。

<参考>岡田定 著「リモート診療 病院に行きたくない時の名医との33のQ&A」(主婦の友社)

<参考>矢冨裕、野田光彦 編著「健康診断と検査がすべてわかる本 改訂」(時事通信社)

<参考>綿田裕孝 監修「糖尿病の満足ごはん」(女子栄養大学出版部)

<参考>日本人間ドック学会2021年度判定区分表

文/おいしい健康編集部









現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長
前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田定先生

1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020 年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長 岡田定先生

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