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2021.6.10 更新

肥満を解消すれば検査値が改善

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長

岡田定先生

血圧や血糖値、コレステロールが高く、BMIで「肥満」に当てはまったら、どうすればいいでしょうか。
BMIは適正な体重を評価するための指標。25以上が「肥満」とされています。
肥満解消の効果や減量の目標にしたい数値などについて解説します。

肥満は様々な病気の原因に

肥満に該当しているからといって、すぐに体調が悪くなるわけではありません。しかし、肥満はさまざまな病気の原因になります。
まず挙げられるのは、糖尿病、高血圧、脂質異常症、痛風などの生活習慣病。近年増加している脂肪肝、肝機能障害といった肝臓の病気も肥満になると増えることがわかっています。脂肪肝が長く続くと、約1割が肝硬変や肝臓がんになります。
膝痛や腰痛など整形外科の病気も起こします。増えすぎた体重を骨や筋肉などが支えなければいけないからです。意外なところで、寝ている間に呼吸が何度も止まる「睡眠時無呼吸症候群」という病気の原因にもなります。空気の通るところ(気道)の周りに余分な脂肪がついて、狭くなるためです。
このほか、大腸がんやすい臓がんなど、がんになる可能性が高まります。
肥満を解消すれば、ここに挙げたたくさんの病気にかかる確率を減らせます。

1年で体重の5%マイナスを目標に

減量で病気を予防できるとわかっていても、すぐに体重を減らすことは難しいもの。長期的な計画を立てて少しずつ体重を管理していくことが大切です。とはいえ、モチベーションが続かないかたも多いでしょう。
長続きさせるコツは、具体的な目標を設定することです。1年間に体重の3%〜5%を減らせば検査値が改善するという研究があります。※1
減量の効果が確実に表れて、現実的に実行しやすい目標として、1年間で5%程度の減量を目指してみましょう。例えば体重80kgの方なら、1年後に5%=4kgのマイナス、つまり76kgを、翌年はさらに72kgを目標にしてみてください。毎日体重を測って、記録するのもモチベーションを維持する一つの手です。

では、どうすれば体重を減らせるでしょうか。
最も大切なのは食事、次に運動です。「運動していれば、食事制限なしでも大丈夫」という考え方は誤りです。運動だけしても、食事を見直さなければ体重は減らせません。「サプリメントを飲んでいるので、いくらでも食べていい」という考え方も残念ながら、間違いです。

体重を減らす食事のポイントは、腹八分目にとどめること。そして適度な「糖質(炭水化物)制限」です。
「おいしい健康」のテーマ別レシピ「満腹で低カロリー」には、低カロリーで満足度の高いレシピ約2000品を掲載しているので、ぜひ活用してみてください。
糖質制限の具体的なやり方については、次の「05 肥満解消のポイントは適度な糖質制限」で紹介します。

筋肉量が多い人、高齢者はBMIが少し高値でも減量しなくて大丈夫

例外として、BMIの数字が「肥満」に当てはまっていても、減量しなくていい場合が二つあります。
一つはボディビルをやっているような、筋肉がしっかりある人です。体組成計を使って筋肉量が基準値を超えるほどしっかりあれば、BMIが25を少し超えていても、さほど問題になりません。逆に言えば、BMIが25未満であっても、筋肉量が少なくて脂肪量が多いのは問題です。いわゆる隠れ肥満です。
もう一つの例外が高齢者です。60歳以上の高齢者になると、フレイルになる可能性があるため、痩せることは危険です。フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態との中間のこと。高齢者に限れば、BMI26、27くらいまでは減量の必要性はありません。

<参考> 岡田定 著「リモート診療 病院に行きたくない時の名医との33のQ&A」(主婦の友社)

<参考> 矢冨裕、野田光彦 編著「健康診断と検査がすべてわかる本 改訂」(時事通信社)

<参考> 綿田裕孝 監修「糖尿病の満足ごはん」(女子栄養大学出版部)

※1 厚生労働科学研究「生活習慣病予防活動・疾病管理による健康指標に及ぼす影響と医療費適正化効果に関する研究」(代表研究者:津下一代)

文/おいしい健康編集部

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長
前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田定先生

1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020 年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長 岡田定先生

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