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2021.6.10 更新

科学的に証明された体によい食品、そうでない食品

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長

岡田定先生

健康のために体によい食品を摂ろうと思っても、現代は体によいとされる食べ物の情報が溢れています。結局何を食べたらいいのか迷ってしまう方も多いでしょう。
そこで、この章では、体によいことが科学的にわかっている食品と、そうでない食品を整理して紹介します。

体によいのは魚、野菜、茶色い炭水化物

ここで言う「体によいこと」とは、脳卒中など動脈硬化による病気やがんにかかるリスクが少なく、長生きできることと考えてください。
体によいという科学的根拠が確立されているのは、①魚、②野菜と果物(フルーツジュースとじゃがいもを除く)、③精製されていない炭水化物(玄米、全粒粉など)、④オリーブオイル、⑤ナッツ(アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ピーナッツなど)。
反対に、体に悪いという科学的根拠が確立されている食品は、①牛肉や豚肉などの赤い肉(特にハムやソーセージ。鶏肉は含まない)、②白米などの精製された炭水化物(じゃがいもを含む)、③飽和脂肪酸(ラードやバター、脂身が多い肉に多く含まれている成分)です。このほか、塩分の摂りすぎも体によくないことがわかっています。
これ以外に「体によい(悪い)」と言われている食品は、まだ確定的なことが言えない段階の食品か、研究されていない食品ということになります。

肉を食べるなら鶏肉を

では、毎日の献立で具体的にどのような料理を選んだらいいでしょうか。
メインのおかずは、肉より魚がおすすめです。魚の摂取は心筋梗塞など、動脈硬化による病気のリスクを下げることがわかっています。※1
ただし、例外として高齢者はフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)を予防するため、たんぱく質(肉を含めて魚、牛乳・乳製品、卵、大豆・大豆製品)をしっかり摂って、体をよく動かすことが推奨されます。また、妊婦さんは魚の種類と量には注意が必要です(詳しくは厚生労働省による注意喚起をご覧ください)。

肉を食べたい時は、牛肉や豚肉といった赤身の肉より、鶏肉を選びましょう。牛肉や豚肉などの赤い肉、特にハムやソーセージなどの加工肉は脳卒中のリスクや死亡率などを上げることがわかっています。体のためには、ハムやソーセージは楽しみ程度に食べるのがよさそうです。

加熱した野菜も取り入れて

サブやメインのおかずに積極的に取り入れたいのが野菜です。
心筋梗塞や脳卒中などの病気によって死亡する確率は、野菜や果物の摂取量が1日あたり1単位(小皿1杯)増えるごとに4%低下。※2
野菜が1日あたり1単位増えると、全死亡率(原因にかかわらず死亡する確率)は5%減ることがわかっています。※2
「野菜を食べる」というと、サラダのような生野菜が思い浮かびますが、火を通すとカサが減るので、食べる量を増やせます。
ほとんどの人は、野菜の摂取量が不足しています。成人1日当たりの野菜摂取量の目標値は350gですが、実際には平均273gしか摂れていません。もっと野菜を摂りましょう。

玄米や全粒粉のパンがおすすめ

主食(ご飯、麺、パンなどの炭水化物)はどのようなものを選べばいいでしょうか。
炭水化物は種類によって健康への影響が異なります。同じ米や小麦であっても精製されている白米、うどん、パスタ、白いパンのような「白い炭水化物」は血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気になるリスクを高めることがわかっています。
一方、玄米や全粒粉(小麦をまるごと粉にしたもの)のパン、蕎麦(十割そばなどのように蕎麦粉の割合が高いものに限る)といった「茶色い炭水化物」は、体によい影響を与えることが数々の研究からわかっています。例えば玄米を多く食べる人たち(週に200g以上)は、玄米をほとんど食べない人たち(月に100g以下)に比べて、糖尿病になるリスクが11%低いという研究があります。※3
主食は玄米のような精製された炭水化物を摂るのがおすすめです。

飽和脂肪酸を減らしましょう

油も炭水化物と同じように、種類によって体への影響が異なります。
バターやラード、牛脂など動物性の油脂には、LDL-コレステロールを増やす「飽和脂肪酸」が多く含まれています。料理するときはバターなどを使いすぎないほうが良さそうです。
油やコレステロールの種類については「脂質異常症の食事のきほん」の「06動物性の脂より植物性の油がおすすめです」「01「コレステロールが高い」とはどんな状態ですか?」をご覧ください。

おいしく食べながら減塩を

さまざまな研究から、食塩の過剰摂取が血圧上昇に関連することが報告され(※4)、減塩によって血圧が下がることも明らかになっています。
塩分が控えめでもおいしく、満足感のある料理にするコツなど、減塩の具体的な方法については「高血圧の食事のきほん」の「05減塩の食事のはじめかた」「06減塩を手軽においしく。調理と食べ方のくふう」で詳しく紹介しています。

※1 Mozaffarian D,et al. Fish intake, contaminants, and human health:evaluating the risks and the benefits.JAMA.2006;296(15):1885-99.

※2 Wang X,et al. Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies.BMJ.2014;349:g4490.

※3 Sun Q,et al. White rice, brown rice, and risk of type 2 diabetes in US men and women.Arch Intern Med.2010; 170 (11): 961-9.

※4 INTERSALT Cooperative Reseach Group. Intersalt: an international study of electrolyte excretion and blood pressure. Results for 24 hour urinary sodium and potassium excretion.BMJ.1988;297:319-328.

<参考>岡田定 著「リモート診療 病院に行きたくない時の名医との33のQ&A」(主婦の友社)

<参考>津川友介 著「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」(東洋経済新報社)

文/おいしい健康編集部

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長
前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田定先生

1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020 年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長 岡田定先生

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