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2021.6.10 更新

肥満解消のポイントは適度な糖質制限

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長

岡田定先生

「05 肥満を解消すれば検査値が改善」で、肥満を解消する食生活のポイントは「腹八分目」と「糖質制限」であることをお伝えしました。
この章では、糖質制限の具体的なやり方を紹介します。

糖質を含む穀類、いも、豆、果物、砂糖

糖質制限とは、摂取カロリーを制限する「エネルギー制限食」に対して、糖質の摂取量を制限することで、食後に血糖値が高くなるのを防ぐことに着目した方法です。
糖質は炭水化物から食物繊維を除いた成分。ただし多くの場合は、炭水化物の量が糖質の量の目安として使われています。糖質はご飯や麺、パンなどの穀類やいも類、豆類、果物、砂糖などに含まれています。炭水化物は糖として消化・吸収されやすく、他の栄養素に比べて、血糖値が急激に上がります。
よくご飯をお代わりする、外食で麺類と丼物のセットを選ぶ、お菓子やジュースが好きといった食生活の人は、糖質を摂りすぎている可能性があります。食事に占める糖質が多い場合は、適切な栄養バランスに近づけることが大切。健康な大人の場合は1日の摂取エネルギーのうち炭水化物は50〜65%が理想とされています。※1

急激ではなくゆるやかな糖質制限を

糖質制限が肥満解消のポイントといっても、 急激な糖質制限はかえって健康によくありません。糖質ゼロの食事にすれば、体重は一時的に減りますが、リバウンドしやすくなります。やせる時には脂肪も筋肉も落ちますが、リバウンドすると筋肉が減り、脂肪だけが増加。短い期間に減量とリバウンドを繰り返すと、同じ体重であっても体の成分の構成バランスが悪くなってしまいます。
例えば朝食と昼食はそのままで、夕食だけご飯を減らして、おかずは今まで通りとするのはいかがでしょうか。自分なりに無理なく長続きすることから始めてみてください。

フルーツジュースは楽しみ程度に

糖質制限というと、ご飯やパン、麺類などの穀類、いもを減らせばいいと考える方は多いかもしれません。
穀類やいも以外に、意外と見逃しやすい糖質があります。それはジュースや清涼飲料水、缶コーヒー、スポーツドリンクなどの甘い飲み物。
特に「体にいいから」と誤解している人が多いのが、フルーツジュースです。フルーツジュースを多く飲んでいる人ほど、糖尿病のリスクが高いことがわかっています※2。甘い飲み物は楽しみ程度にして、普段の水分補給にはお茶や水を飲みましょう。

糖質を摂るのは三食のごはんで

「毎日の食事には気をつけています」という人でも、「甘いものは別腹だから」とおやつにお菓子を食べ過ぎていることがあります。お菓子には砂糖が入っていることが多く、カロリー(エネルギー量)が高くなりがち。特に注意したいのは、お菓子で糖質を摂るからといって、三食のごはんを減らすこと。毎日のごはんには体に必要な栄養素が含まれています。糖質は三食のごはんから摂りましょう。

※1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」

※2 Muraki I, et al : Fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies.BMJ.2013;347:f5001.

<参考>岡田定 著「リモート診療 病院に行きたくない時の名医との33のQ&A」(主婦の友社)

<参考>綿田裕孝 監修「糖尿病の満足ごはん」(女子栄養大学出版部)

文/おいしい健康編集部









現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長
前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田定先生

1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020 年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長 岡田定先生

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