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2021.6.16 更新

胸やけを起こしているときは消化のいいものを

京都府立医科大学附属病院 内視鏡・超音波診療部 部長

内藤裕二先生

「05  毎日の食生活を見直しましょう」では、逆流性食道炎の方が生活を見直す上で、胸やけを起こしにくい食べ方のコツをお伝えしました。とはいえ、気をつけていても、胸焼けが起こってしまうことはあります。そんな時はどんな食事を取れば症状が早く改善するか、解説します。

短時間で消化されるものや野菜を

消化に時間がかかるものを食べると、食べたものが長い時間胃の中にとどまることに。胃酸が盛んに分泌する時間も長くなり、逆流するリスクが高くなります。できるだけ短時間で消化されるものを食べるようにしましょう。
食道・胃への負担が少ない食品は次の通りです。

◎穀類:
うどん
そうめん
軟飯
おかゆ など
◎肉類:
鶏ささみ肉
鶏むね肉
豚ひれ肉 など
◎魚介類:
たい
ひらめ
かれい
たら
かき など
◎大豆製品:
豆腐
納豆 など
◎卵・乳製品:
半熟卵
牛乳
ヨーグルト
チーズ など
◎野菜・いも類:
大根
にんじん
かぶ
白菜
じゃがいも
山芋 など
◎果物:
バナナ
りんご
桃 など

さらに、 胃液の分泌を抑えたり消化を助けたりする効果のある野菜も、献立に取り入れてみてください。
胃酸の分泌を抑えたり、粘膜の修復を助けたりする「ビタミンU」は、キャベツやブロッコリー、アスパラガスなどに豊富。
消化を促す「消化酵素」は、大根、山芋、にんじん、パイナップルなどに多く含まれています。

食物繊維や油を控え、やわらかく調理

消化のいい食事にするポイントは、以下の3つです。

①食物繊維が多い食材は控えめにする
食物繊維が多い食品は便秘の解消などには効果的ですが、消化に時間がかかるので、胃酸が分泌する時間が多くなります。
食物繊維が多い食材は次の通りです。

ごぼう
れんこん
もやし
納豆
きのこ類
海藻類
こんにゃく など

②油っぽい料理は避ける
脂肪(脂質)はたんぱく質や炭水化物と比べて消化に時間がかかります。脂肪分が多い肉類は避けましょう。肉をとるなら、脂肪分が少なめな鶏ささ身や鶏胸肉(皮なし)を活用するのがおすすめです。
また、揚げ物、炒め物など油を使う調理法ではなく、蒸す、煮る、ゆでるなど、食道・胃にやさしい調理法を活用します。

③やわらかく調理する
加熱時間を通常より長めにしてやわらかく煮ることで、消化が良くなります。

胸焼けのときに食べたい、消化にいいレシピを紹介します。






<参考> 日本消化器病学会編集「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2015」(南江堂)

<参考> 三輪洋人監修「シニアの逆流性食道炎:こみ上げる胃酸にもう悩まない! (別冊NHKきょうの健康)」(NHK出版)

文/東 裕美

京都府立医科大学附属病院
内視鏡・超音波診療部 部長
内藤裕二先生

京都府立医科大学 消化器内科学教室 准教授。京都府立医科大学卒業。2015年より現職。専門は、消化器病学、消化器内視鏡学、消化管学、酸化ストレスと消化管炎症、生活習慣病、腸内微生物叢。国際フリーラジカル学会(SFRR)アジア President、米国消化器病学会(AGA)会員。主な著書に『便秘薬との向き合い方』(金芳堂)、『消化管(おなか)は泣いています』『人生を変える賢い腸のつくり方』(ともにダイヤモンド社)がある。

京都府立医科大学附属病院 内視鏡・超音波診療部 部長 内藤裕二先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。