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2021.5.21 更新

水分補給で便をやわらかく

医療法人恵仁会松島病院 大腸肛門病センター医師

松島小百合先生

医療法人恵仁会松島病院 大腸肛門病センター医師

紅谷 鮎美先生

「便秘を改善するために水分を多めに摂りましょう」とよく聞きますね。そのメカニズムを説明しましょう。

体を守るために大腸が水分調整をしています

口から摂る食べ物や飲み物の水分の大半は、大腸を通過する際に吸収され、食べ物の残りカスは適度な硬さの塊になります。ところが、体内の水分が不足していると、体が必要な水分を維持しようとするので、便とともに体外に排出する水分を減らそうとします。その結果、便が硬くなってしまいます。便が硬くならないように、あらかじめ十分な水分を摂っておくと正常な排便の助けになります。

1日1.5ℓの水分を摂りましょう

便通の改善には、食事から摂取する分以外の、飲み物として摂る水分量は1日1.5ℓくらい必要です。水分を一度に大量に摂っても、腸では吸収されにくく、余分な水分としてそのまま尿として排出されてしまいます。あらかじめ1.5ℓの水分を用意しておき、午前・午後と何回かに分けてこまめに水分補給すると確実に必要量が飲めますし、「たくさん飲まなければ」という負担感もないでしょう。

またコーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲料は、利尿作用があるため、尿として排出されてしまいます。カフェイン入りのドリンクは、水分補給としてはカウントせずに、楽しみとして摂る程度に。水分補給には水など、カフェインを含まないものを選びましょう。

<参考> 日本大腸肛門病学会編集「肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版)」(南江堂)

<参考> 松島誠ほか監修「食事療法はじめの一歩シリーズ 痔で悩む人の毎日ごはん」(女子栄養大学出版部)

文/高橋裕子

医療法人恵仁会松島病院
大腸肛門病センター医師
松島小百合先生

医療法人恵仁会松島病院 大腸肛門病センター医師 松島小百合先生

医療法人恵仁会松島病院
大腸肛門病センター医師
紅谷 鮎美先生

医療法人恵仁会松島病院 大腸肛門病センター医師 紅谷 鮎美先生

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