02

2022.7.26 更新

「立ちくらみ=貧血」ではありません

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長

岡田定先生

貧血の一番の症状といえば「立ちくらみ」と思っていませんか? 実は、貧血の症状は別のかたちで現れます。

ここでは、貧血で見られる特徴的な症状を紹介します。この機会に自分の心身の状態をチェックしてみてください。
思い当たることがあったら、なるべく早めに内科を受診することをおすすめします。

貧血の主な症状は、疲れやすさと息切れです

休んでもなかなか疲れがとれない、階段を上ったときに息切れがする…。こんな症状はありませんか?

体内の鉄が不足するとヘモグロビンが少なくなり、酸素を体中に運ぶ赤血球も少なくなります。
すると、体中の酸素量が不十分になるため、疲労感や息切れ、動悸、めまい、頭痛などの症状が出ます。
また、赤血球は赤い色をしているため、赤血球の減少に伴い顔色が悪くなります。

一方、貧血は徐々に進行する場合が多いため、はっきりと症状が自覚できないこともあります。
また年齢や体質、疲労やストレスなどが原因と自己判断して、貧血を抱えたまま生活している人が案外多いのが現状です。

鉄欠乏性貧血に独特の症状として、爪がもろくなって割れたり、ひどくなると爪の中央がへこみ、先が反り返ってスプーン状になることがあります。

爪は肌が変化したもので、ケラチンというたんぱく質からできています。肌と同じように爪には酸素が必要ですが、貧血で爪に酸素が十分に行き届かなくなると、爪がもろくなったり、変形したりします。

ほかにも氷食症という症状があります。
氷を無性に食べたくなってしまう症状で、鉄欠乏状態が比較的重症で長期間続いている患者さんにしばしばみられます。

氷食症がある患者さんは自覚していないことが多く、「氷をガリガリと食べたくなったりしませんか?」と尋ねると驚かれることがあります。
氷食症になる原因はわかっていませんが、鉄不足が脳の中枢神経に何らかの影響を与えているためと考えられています。

鉄は、神経伝達物質を作るときに必要な酵素を助ける働きをしているために、不足すると、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが必要なときでも作られなくなります。
その結果、うつやパニック障害の症状を引き起こしやすくなることもわかっています。

【貧血の主な症状】

□疲れやすい

□休んでも疲れがとれない

□階段を上ると息切れがする

□顔色が悪い

□めまいがする

□爪がもろく、割れたりする

□爪がスプーン状に反り返る

□氷をガリガリとかじりたくなる(氷食症)

「立ちくらみ=貧血」ではない。立ちくらみの多くは、貧血以外の病気

「立ちくらみ=貧血」と思い込んでいる人がいます。立ちくらみやめまいは、確かに貧血の症状のひとつではありますが、立ちくらみがするからといって、必ずしも貧血というわけではありません

立ちくらみは「脳貧血」と呼ばれ、「貧血」と病名がついていることから誤解されやすいのですが、「起立性低血圧」や「自律神経失調症」が原因で起こるもので、貧血とは違います。
脳貧血は、一時的に脳に十分な血液が届かなくなり、脳が酸欠状態になって起こります。
脳貧血では鉄分不足や造血機能の低下で赤血球が減少するわけではないので、採血をしてもヘモグロビン値に異常はありません。

立ちくらみを起こしたときは、『貧血だから大丈夫』と思わず、近くの病院に受診するといいでしょう

文/高橋裕子

編集/おいしい健康編集部









現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長
前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長
岡田定先生

1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、内科統括部長、人間ドック科部長を歴任。2020 年より現職。血液診療、予防医療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している。

現・医療法人社団平静の会西崎クリニック院長 前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長 岡田定先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。