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2020.4.6 更新

糖尿病でもおやつを食べていいですか?

自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門

教授 矢作直也先生

甘いお菓子やジュース、しょっぱいものなどの「おやつ」は、気分転換やストレス解消になり、毎日の楽しみにもなります。ただ、少量でもエネルギー量が高く、1日のエネルギー摂取量をあっという間に上回ってしまいます。

おやつはどのように考えればいいのでしょうか。

3食バランスよく食べることが大前提

糖尿病の食事は、食べてはいけないものはありませんが、好きなものを食べたいだけ食べていいわけではありません。

おやつを食べるために食事を抜いたり、糖質を摂り過ぎて栄養バランスを乱したりしては、血糖値のコントロールに影響が出てしまいます。

また、菓子パンなどで食事を済ませることもあるかもしれませんが、エネルギーが高い一方で、ビタミンやミネラルなどの栄養素を補うことができません。

糖尿病の食事で大切なのは、1日の適正なエネルギー摂取量を守り、栄養バランスを保つこと。3食きちんと摂ることを前提に、おやつを食べるときは足りない栄養素を意識するようにしましょう。

食べるなら時間を決めて

遅い時間や寝る直前におやつを食べることはありませんか?

就寝前におやつを食べることは、肥満を助長させ、血糖コントロールの不良の原因にもなり、合併症のリスクも高まります。また、翌日の朝食の欠食にもつながります。

おやつを食べるなら、食べた分を消費できるよう遅い時間を避け、午前中や午後の早い時間にするなど、時間を決めて。食事に影響がないよう工夫が必要です。

エネルギーは控えめに。栄養を補えるおやつを

よく食べるおやつのエネルギー量を知っておくと便利です。おやつの一例で、一般的な文量に対してエネルギー量を算出しました※1

メロンパン(1個100gあたり)

……約366kcal

大福(1個95gあたり)

……約223kcal

シュークリーム(1個95gあたり)

……約217kcal

ポテトチップス(1袋60gあたり)

……約332kcal

栄養価は食品や商品によって異なるので、栄養成分表示を確認してみましょう。

ごはん(精白米)のお茶碗1杯(150g)は252kcal。おやつのエネルギー量の高さが実感できます。

まるごと全部食べずに半分にしたり、個包装のものを選んだり、区切りをつけて食べるといいでしょう。食べ過ぎてしまったときは、夕食のごはんの量を軽めにしたり、いもやかぼちゃを使ったおかずを控えるなど、糖質の量でバランスをとって。

また、不足している栄養素を補えるおやつを選ぶこともポイントです。おすすめは、ナッツ類や、低糖・無糖のヨーグルト、チーズなど。糖質が少なく、たんぱく質や良質な脂質を摂ることができます。

<参考>『糖尿病診療ガイドライン2019』編・著 日本糖尿病学会(南江堂)

*1文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』

文/おいしい健康編集部









自治医科大学
内科学講座 内分泌代謝学部門
教授 矢作直也先生

自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門 教授。東京大学医学部卒。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院特任准教授、筑波大学准教授を経て現職。ニュートリゲノミクスリサーチグループ代表。医師として糖尿病やメタボリックシンドロームの診療にあたりつつ、研究者としてニュートリゲノミクス研究を推進。薬局と医療機関との連携による糖尿病早期発見プロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」の展開など活動は多岐にわたる。著書に『遺伝子制御の新たな主役 栄養シグナル』(編集;2016年、羊土社) など。

自治医科大学 内科学講座 内分泌代謝学部門 教授 矢作直也先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。