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2021.5.21 更新

朝食を抜かないようにしましょう

医療法人恵仁会松島病院 大腸肛門病センター医師

松島小百合先生

医療法人恵仁会松島病院 大腸肛門病センター医師

紅谷 鮎美先生

痔を予防・改善するための食事について解説する前に大切なことがあります。それは1日3食きちんと食べること。とくに朝食を抜かないことがとても重要です。「忙しいから」「ダイエット中だから」と朝食を抜いていると、いつまでも理想的な便を出せなくなってしまいます。朝食はしっかりと摂りましょう。

朝食を食べると腸の蠕動運動が起こります

朝食で胃に食べ物が入ると、その刺激で胃結腸反射(胃から大腸に信号が送られ、信号を受けた大腸が反射的に収縮し、便を直腸に送り出そうする動き)が起こり、大腸の蠕動運動(腸管の口側が狭まり、肛門側が広がって内容物を先へ押し出していく運動)が起こります。すると夜間にS状結腸までおりてきていた便が直腸まで運ばれます。直腸が圧迫されると排便反射が起こり、私たちは便意を感じます。このタイミングで排便すると、スッキリと気持ちよく排便できます。

便秘の人は、朝起きたらすぐに水分を多めに飲むのも効果的です。腸が刺激されて動きが活発になり、便意をもよおす助けになります。便をやわらかくするために、朝ごはんをはじめ毎食、食物繊維を多めに摂るのがおすすめです。
【朝食の献立例】


毎日の食事は、なるべく同じ時間に摂りましょう

できる範囲でOKですので、なるべく3食、毎日同じ時間に食事をするようにしましょう。体に食べ物が入るタイミングが習慣づけられて、腸の蠕動運動の効率も上がり、排便習慣がつきやすくなります。そのためには、だいたいの生活時間を決めて、規則正しい生活を送ることが大切です。

便意を我慢しないようにしましょう

便意を我慢し過ぎると、便意に対する感覚が鈍り、便秘になってしまうことがあります。便意は、いくつかの神経反射によって朝食後に起こるので、自然な便意を生かせるのが排便のリズムをつけるのに最も効果的です。「早々に片づけたい家事がある」「通勤中で途中下車したくない」など、いろいろ事情があるかと思いますが、そこは便意を優先してトイレに行きましょう。そのためにも朝は早起きして、時間に余裕を持ちたいですね。

<参考> 日本大腸肛門病学会編集「肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版)」(南江堂)

<参考> 松島誠ほか監修「食事療法はじめの一歩シリーズ 痔で悩む人の毎日ごはん」(女子栄養大学出版部)

文/高橋裕子

医療法人恵仁会松島病院
大腸肛門病センター医師
松島小百合先生

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大腸肛門病センター医師
紅谷 鮎美先生

医療法人恵仁会松島病院 大腸肛門病センター医師 紅谷 鮎美先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。