「食物繊維」はお通じにいいという印象がありますが、糖尿病の食事療法に役立つ成分であることをご存知ですか?
水溶性と不溶性の2種類あります
食物繊維とは、消化・吸収されずに大腸まで達する食品成分のこと。水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります。
水溶性食物繊維は、オクラや昆布などのネバネバする食品や、くだもの、こんにゃくなどに含まれています。糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急な上昇を抑える働きがあります。
一方、不溶性食物繊維は、きのこやごぼう、野菜やくだもの、豆類などの食品や、穀物の皮などに多く含まれます。胃や腸で水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して便通を促します。噛みごたえのあるものが多く、満腹感が得やすくなります。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維、どちらの働きも糖尿病の食事に役立ちます。
穀物の食物繊維を中心に1日20gを目標に
食物繊維といえば、野菜や果物、きのこ類などが思いうかびますが、糖尿病の食事で注目したいのは、穀物に含まれる食物繊維。
野菜や果物、きのこ類、海藻などの食物繊維とともに穀物の食物繊維も合わせ、1日20gを目標に摂りましょう。
食物繊維が含まれる穀物といえば、大麦や押し麦など。そして、そばからも摂ることができます。
例えば、150gの炊いたごはん(精白米)の食物繊維は2.3gですが、同量の押し麦を混ぜたごはん(押し麦3:精白米7)では3.6g摂ることができます。また、180gのそば(ゆで)の食物繊維は3.6g、うどん(ゆで)は1.5g。主食を食べるとき、食物繊維量を意識して選ぶと効率よく摂取できます。
食物繊維の摂取量が減少中。1日20g摂るための工夫
日本人の食物摂取量は、1950年では1日20gを超えていましたが、食生活の欧米化や穀類・いも類・豆類の摂取量の減少にともない、食物繊維の摂取量は今、減少しています。
食物繊維を毎日しっかり摂り続けるためには、食品選びがポイントです。
主食の食品を玄米などの食物繊維の多い食品に代えてみる、緑黄色野菜やきのこ、海藻類を意識して食べる、おやつに食物繊維の多い食品を選ぶなど、ちょっとした心がけで食物繊維が摂りやすくなります。
また、1日に、野菜類の小鉢を4〜5品(1食あたり1〜2品)摂ることを目標にすると、食物繊維の摂取目標量20gをクリアしやすくなります。
食事を大きく変えることなく、身近な工夫で食物繊維を摂っていきましょう。
<参考>『糖尿病診療ガイドライン2019』編・著 日本糖尿病学会(南江堂)
<参考>文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
文/おいしい健康編集部