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2020.8.7 更新

「高血圧」とはどんな病気ですか?

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

木内謙一郎先生

血圧が高い状態である「高血圧」とは、一体どんな病気なのでしょうか。どのような影響があるのでしょうか。

高血圧は日本人にもっとも多い病気

厚生労働省の患者調査によると、日本の高血圧者数は約4300万人いると推計されています。※1これは日本人の約3人に1人が高血圧であり、高血圧は日本で最も多い病気ということです。

この4300万人のなかで血圧が適切にコントロールされているのはわずか1200万人程度。残りの3100万人は血圧の管理がきちんとできておらず、そのなかでも自分が高血圧であることを認識していない人が1400万人、知っていても治療ができていない人が450万人も含まれています。

2016年の「国民健康・栄養調査」によれば、高血圧有病率(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧/90mmHg以上、または降圧薬服用中)は、40〜74歳で男性60%、女性は41%を占めています。75歳以上では、男性の74%、女性の77%にのぼり、高齢化にともない今後もさらに増加する可能性があると言われています。※2

高血圧になると「怖い」と言われる理由

血圧が高い状態が続くということは、血管に常に強い圧力がかかるということです。圧力によって血管の壁は傷つき、次第に厚くなります。

これを「動脈硬化」と言い、進行するとさまざまな合併症を引き起こします。高血圧が、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病など命に関わる重大な病気のリスクのうちのひとつとなるのです。

◎脳卒中
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など。脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。

◎心疾患
心臓の構造や機能になんらかの障害が生じることで引き起こされる病気で、日本人の死因の第2位。心筋梗塞や狭心症などがあげられます。

◎慢性腎臓病
血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかります。血液中の過剰なナトリウムの排泄が滞り、さらに血圧が上昇する悪循環を起こしやすくなります。

脳や心臓、腎臓など、血管がたくさんあるところほど、血圧の影響を受けやすく、その影響は全身にも及びます。

自覚症状がなく放置されやすい

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれていることをご存知でしょうか。

実は高血圧は自覚症状がほとんどありません。
血圧が高い状態が続いていても日常生活に支障がでないため、放置されやすいという特徴があります。

からだのなかでは静かに血管の障害が進行し、あるとき突然、脳卒中や心疾患などの合併症が起こります。サイレントキラーと呼ばれているように、静かにからだを蝕むのです。

症状がないため切実感がわきにくいですが、大きな病気につながらないようにふだんから気をつける必要があります。
また、今血圧に不安がないという方も予防を意識することが大切です。

<参考>日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

※1 厚生労働省「患者調査」2017年

※2 厚生労働省「平成28年 国民健康・栄養調査」

文/おいしい健康編集部

慶應義塾大学医学部
内科学教室 腎臓内分泌代謝内科
木内謙一郎先生

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科助教。2006年慶應義塾大学医学部卒業。11年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。米国カリフォルニア大学アーバイン校医学部 Center for Epigenetics and Metabolism 博士研究員 (Paolo Sassone-Corsi研究室)を経て、慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 特任助教。20年4月より現職。

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 木内謙一郎先生

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