10

2020.8.7 更新

運動、ストレス… 生活習慣の見直しポイント

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

木内謙一郎先生

高血圧の治療における生活習慣の改善は、ほかにも挙げられます。運動やストレスへの対応など、食事以外のポイントをまとめました。

有酸素運動は血圧を下げる働きがあります

高血圧の治療や予防には、運動やからだを動かすことが大切です。なかでも有酸素運動は、血圧を下げる働きがあります。

おすすめは、散歩や軽いジョギング、サイクリング、水泳、ラジオ体操など。これらの有酸素運動は、高血圧に限らず、脂質異常や糖代謝異常、肥満などの生活習慣病の予防や治療にも推奨されています。

「ややきつい」と感じる程度を、できれば30分以上持続して行うこと。定期的に運動することがポイントです。掃除をしたり子どもと遊んだり、自転車で買い物に行くなど、生活のなかで活動量を増やすことからはじめてもよいでしょう。

ただし、高血圧の分類で高い位置にいる人には運動の制限や禁止があります。医師の判断を仰いだうえで行ってください。

ストレスも高血圧の原因に

血圧は自律神経によってもコントロールされています。

人間はストレスにさらされると脳がキャッチし、抵抗するために交感神経が強く働きます。交感神経の働きが活発になると、心拍数が増加したり心臓の収縮力が増したりして、心臓から送り出される血液量が増えます。一方で末梢神経は収縮します。

このように、血液によって血管を内側から押す力が高まり、血圧が上昇するのです。

血圧を上げないためには、ストレスの原因を取り除くことが必要です。十分に睡眠をとって生活リズムをととのえ、交感神経を休めましょう。

便秘や季節変動、喫煙も血圧に関係します

生活習慣の改善は、意外なところでまだあります。

◎便秘を予防しましょう
便秘のとき、排便時にいきみが伴うことがありますが、このいきみは血圧を上昇させます。日ごろから、便秘を予防するために、野菜や豆類、海藻などさまざまな食材から食物繊維を摂りましょう。朝食をしっかり食べて規則正しく過ごすなど、生活全体を見直すことも大切です。

◎寒い季節は血圧が上がりやすいとき
血圧は一般的にあたたかい季節には下がり、寒い季節には上がります。これを血圧の季節変動といいます。脳卒中や心筋梗塞などの発症も季節変動を受けやすく、冬は特に血圧が上がりやすくなるので注意が必要です。また、気温の著しい変化は血圧にも影響します。冬のお風呂は寒い脱衣所と温かい湯船で急激な温度変化があり、暖房の効いていないトイレも、血管に負担がかかります。着るものや部屋の温度をこまめに調節し、急激な血圧の変化が起こらないようにくふうをしましょう。

◎禁煙をしましょう
喫煙は高血圧だけではなく、脳心血管疾患、肺疾患、悪性腫瘍などあらゆる病気のリスクを高めます。健康のためにも禁煙は重要です。ただ、禁煙後の体重増加には気をつけましょう。

高血圧の治療における生活習慣の改善は、「減塩だけ」「運動だけ」と単一ではなく、複合的に取り組む必要があります。また、現在の自分の血圧値の範囲やほかの疾患との関連によっても、治療の進め方や気をつけるべきことは変わります。医師の判断をあおぎながら取り組んでみてください。また、今血圧に不安がない方も、予防の観点で生活習慣を見直してみましょう。

<参考>日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

文/おいしい健康編集部

慶應義塾大学医学部
内科学教室 腎臓内分泌代謝内科
木内謙一郎先生

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科助教。2006年慶應義塾大学医学部卒業。11年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。米国カリフォルニア大学アーバイン校医学部 Center for Epigenetics and Metabolism 博士研究員 (Paolo Sassone-Corsi研究室)を経て、慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 特任助教。20年4月より現職。

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 木内謙一郎先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。