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2020.9.30 更新

グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせ

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

木内謙一郎先生

「血圧を下げる薬を飲んでいると、グレープフルーツジュースを飲んではいけない」という話をきいたことはありませんか。

そのように言われている理由や、グレープフルーツジュースの影響を受けやすい薬の種類などについて解説します。

「少しの量だったり、間隔をあけたら飲んでも大丈夫なのでは?」「グレープフルーツの実や、他の柑橘類は食べられますか?」といった、素朴な疑問にもお答えします。

なぜグレープフルーツジュースを一緒に飲んではいけないのですか?

高血圧の薬にはさまざまな種類があり、このうちグレープフルーツジュースと一緒に飲んではいけないとされるのは、「カルシウム拮抗薬」と呼ばれるグループの薬です。

カルシウム拮抗薬は主に、血管を広げて血圧を下げる働きをします。

この薬を服用している人がグレープフルーツジュースを飲むと、薬の効果が強く出すぎたり、心拍数が上がったり、頭痛などの副作用が起こりやすくなることがあります

これは、グレープフルーツジュースに含まれている「フラノクマリン類」などの成分が小腸で、薬が代謝される酵素を阻害するためです。

その結果、体に吸収される薬の量が増えて、薬の血中濃度が上昇し、必要以上に血圧が下がりすぎてしまいます。

グレープフルーツジュースの影響を受けにくい薬もあります

カルシウム拮抗薬の中にもいろいろな種類があり、グレープフルーツジュースの影響を受けやすい薬と、影響を受けにくい薬があります(表)。

グレープフルーツジュースが好きで飲み続けたい方は、カルシウム拮抗薬を避けたほうが良く、かかりつけの医師・薬剤師に「グレープフルーツジュースの影響を受けにくい薬にかえられませんか?」と聞いてみるのも一つの方法です。

表 グレープフルーツジュースが各カルシウム拮抗薬に与える影響

【影響の強さ:かなり強い】

ニソルジピン、フェロジピン

【影響の強さ:強い】

アゼルニジピン、マニジピン、シルニジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン

【影響の強さ:やや強い】

ニカルジピン、ベニジピン、ベラパミル

【影響の強さ:弱い】

アムロジピン、ジルチアゼム

【影響の強さ:不明】

アラニジピン、ニルバジピン、バルニジピン

少しの量なら飲んでも大丈夫ですか?

わずかな量のグレープフルーツジュースなら、カルシウム拮抗薬に影響しないのでしょうか。

実は、どのくらいの量までならグレープフルーツジュースを一緒に飲んでも安全かどうかは、はっきりしていません

グレープフルーツジュースを200mL(コップ一杯)程度飲んだところ、薬の効果が強まってしまったという報告はあります。

しかし、飲んでも大丈夫な量については、グレープフルーツの品種によってフラノクマリン類の量が違うこともあり、現時点では十分なデータがありません。

グレープフルーツジュースがどのくらい薬に影響するかは個人差が大きいので、気になる方は、かかりつけの医師・薬剤師に相談しましょう。

時間をあければ飲んでも大丈夫ですか?

グレープフルーツジュースと薬を一緒に飲むのが問題なら、時間をあければグレープフルーツジュースを飲んでも大丈夫なように思えます。

しかし、グレープフルーツジュースによる影響は飲んだ日だけではなく、2〜3日続く場合があると言われています。

ですから、飲み合わせが悪い薬を服用している間は、グレープフルーツジュースを飲むのは避けたほうがいいでしょう。

バレンシアオレンジやみかん、レモンなら食べられます

グレープフルーツの果肉や、グレープフルーツ以外の柑橘類は食べられるのか、気になるところですね。

フラノクマリン類は、グレープフルーツの果汁だけでなく、果肉や皮にも含まれていることがわかっています。ですから、ジュースだけではなく果肉そのものや、皮を使った加工品(マーマレードなど)にも注意が必要です。

さらには、グレープフルーツと文旦をかけ合わせた「スウィーティー」、グレープフルーツとスウィーティーをかけ合わせた「メロゴールド」の果汁にも、グレープフルーツと同じくらいのフラノクマリン類が含まれています。

グレープフルーツの仲間以外にも、八朔、ザボン(晩白柚、土佐文旦)などにはフラノクマリン類が多く含まれると考えられています。

反対に、同じ柑橘類でもバレンシアオレンジ、温州みかん、レモンは薬に影響する可能性は低いので、食べて構いません。果汁が1%も含まれていないグレープフルーツフレイバーの炭酸水や飴も避けなくて大丈夫です。

柑橘類の種類や、食品の表示を確認してから食べるようにしましょう。

<参考>

『医療・福祉介護者も知っておきたい 食と薬の相互作用』(幸書房)

『薬と食の相互作用(上巻)』(医薬ジャーナル社)

『今日の治療薬』(南江堂)

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報

独立行政法人医薬品医療機器総合機構  くすりQ&A

Web医事新報  柑橘類の摂取と薬剤服用の問題点は?

Sica DA. Interaction of grapefruit juice and calcium channel blockers. Am J Hypertens. 2006 Jul;19(7):768-73.

文/おいしい健康編集部

慶應義塾大学医学部
内科学教室 腎臓内分泌代謝内科
木内謙一郎先生

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科助教。2006年慶應義塾大学医学部卒業。11年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。米国カリフォルニア大学アーバイン校医学部 Center for Epigenetics and Metabolism 博士研究員 (Paolo Sassone-Corsi研究室)を経て、慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 特任助教。20年4月より現職。

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 木内謙一郎先生

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