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2020.8.7 更新

摂りたい栄養素と理想の食事パターン

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科

木内謙一郎先生

減塩以外にも、高血圧では食事で気をつけることがあります。

「カリウム」は降圧効果が期待できる栄養素

「カリウム」をご存知でしょうか。
食塩に含まれるナトリウムは血液中に水分を引き込む作用があり、一方でカリウムは血液中の余分なナトリウムを排出する働きがあります。

ナトリウムは血圧上昇作用がありますが、カリウムが含まれる野菜や果物、海藻類などの食材を摂ることによって、血圧を下げる作用が期待できます。

また、カリウムの摂取と脳卒中には関係があり、カリウム摂取量が約3500mg/日の摂取で、脳卒中のリスクが最低になることが報告されています。※1

カリウムは何に含まれている?

このカリウムの摂取、私たち日本人は足りているのでしょうか?

2017年に公表された「国民健康・栄養調査」では、カリウムの平均摂取量は、男性で2382mg、女性2256mgと報告されています。※2目標値は1日あたり3000mg以上とされ、日本人の摂取量は不足しています。※3

カリウムをしっかり摂るためには、いも類や白菜、キャベツ、昆布、バナナなど、野菜や果物、海藻類を意識することがポイントです。

ただ、果物の摂取には気をつけなければいけません。肥満や糖尿病を抱えている方が果物を摂取する場合、適正なエネルギー摂取量の範囲内で摂る必要があります。「糖尿病ガイドライン(2019年版)」では、果物の摂取は1日1単位(80kcal)程度としています。バナナでは中サイズ1本、りんごは1/2個程度が目安です。※4

また、腎機能が低下しているとカリウムの排出が減少し、高カリウム血症を引き起こします。慢性腎臓病の方はカリウム制限が必要になる場合があるので、カリウムが多い食材の摂取には気をつける必要があります。カリウムの摂取は医師の判断や指導をあおぎましょう。

高血圧の食事の理想の「食事パターン」

食事全体のバランスも大切です。
意識して摂取したいのは、野菜や果物、低脂肪の乳製品。肉の脂身や揚げ物などの飽和脂肪酸と魚卵やホルモンなどのコレステロールは、摂りすぎに気をつけましょう。そして減塩も忘れてはいけません。

伝統的な日本の和食はこれらのパターンに近く、魚介類や穀物、野菜、果物、豆などが豊富で、肉類を控える食事です。ただし、和食は塩分が高くなりやすく、減塩を意識することで望ましいバランスになります。

*1 vinceti M et al. Meta-Analysis of Potassium Intake and the Risk of Stroke .J Am Heart Assoc.2016; 5:e004210.PMD:27792643

*2 厚生労働省「平成29年 国民健康・栄養調査」

*3 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」

*4 『糖尿病診療ガイドライン2019』編・著 日本糖尿病学会(南江堂)

<参考>日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

文/おいしい健康編集部

慶應義塾大学医学部
内科学教室 腎臓内分泌代謝内科
木内謙一郎先生

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科助教。2006年慶應義塾大学医学部卒業。11年慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。米国カリフォルニア大学アーバイン校医学部 Center for Epigenetics and Metabolism 博士研究員 (Paolo Sassone-Corsi研究室)を経て、慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 特任助教。20年4月より現職。

慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 木内謙一郎先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。