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2021.10.4 更新

妊婦さんが心配な、魚に含まれる水銀について

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

良質なたんぱく質を始め、栄養素が豊富に含まれる魚は、妊娠中に積極的に摂りたい食品。一方で、魚には水銀が含まれることがあり、妊婦さんが過剰に食べることで、おなかの赤ちゃんに影響が及ぶケースがあります。
お寿司が好きな方にとっては、特に気になるところではないでしょうか。ここでは、妊娠中にちょっと気をつけたい魚と、食べる際の上限量を紹介します。

魚に含まれる水銀がおなかの赤ちゃんに影響することがわかっています

魚には良質なたんぱく質やDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、健康のために摂りたい栄養素が豊富に含まれています。

妊婦さんにも積極的に食べてほしい食品ではありますが、魚の種類によっては注意が必要なものがあります。

魚には、食物連鎖によって自然界に存在する水銀が取り込まれていることがあり、とても偏った食べ方をしてしまうと、おなかの赤ちゃんの中枢神経に影響を与えてしまう恐れがあることがわかっています。

ちなみに、影響があるのはおなかの赤ちゃんだけ。魚を食べることで母体の中に取り込まれた水銀は、徐々に母体の外へ排出されていくので、妊婦さんのからだには影響がありません。

おなかの赤ちゃんは、母体の中から取り込んだ水銀をからだの外に出すことができないため、注意が必要になります。

また、水銀は胎盤を通して赤ちゃんに取り込まれます。胎盤ができる前(妊娠4カ月以前)に食べた魚については、赤ちゃんに影響しないと考えられています。そのため、妊娠が判明したときから気をつけていれば大丈夫です。

食物連鎖(しょくもつれんさ)とは?…ある生物がほかの生物に食べられていく関係が複雑につながっている状況。

キンメダイ、メカジキ、本マグロやメバチマグロは、1週間に1切れが目安

厚生労働省が注意が必要と発表している魚の中で、一般的によく食べられている魚は、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、キダイ、マカジキ、ミナミマグロ(インドマグロ)、クロムツなど。目安量は以下の通りです。

注意が必要な魚と1週間の摂取量

●1週間に80gまで
(刺し身1人前、切り身1切程度)
キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)など

●1週間に160gまで
(刺し身2人前、切り身2切れ程度)
キダイ、マカジキ、ミナミマグロ(インドマグロ)など

特には注意が必要ではないもの
キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなど

<参考>厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


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