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2021.10.4 更新

妊娠中の体重増加は個人差が考慮されます

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

妊娠中の体重増加については、増えすぎて悩む人もいれば、増えずに心配になる人もいるのではないでしょうか? 妊娠中の体重増加は、妊婦さんの妊娠前の体格指数(BMI)から、適正増加量を導き出します。まずは自分が何kgまで増えていいのかを知ることが大切です。

増えすぎても、増えなさすぎてもリスクがあります

妊娠中はホルモンの働きもあって、いつもより太りやすい状態になります。
これは、おなかの赤ちゃんを守るために皮下脂肪がついたり、出産や産後に備えてエネルギーを蓄えるためでもあります。

近年では、妊娠中の体重が順調に増えないことにより、早産のリスクや、赤ちゃんが小さく生まれるリスクが高まることが社会問題になっています。

妊婦さんが食事からしっかり栄養を摂らずに赤ちゃんが小さく産まれた場合、命の危険だけではなく、将来、循環器疾患や糖尿病発症のリスク因子になることが報告されています。(※1)

特に、妊娠前に「やせ」だった妊婦さんは注意が必要です。妊娠中の体重増加が胎児発育に与える影響は、妊娠前の体格によって異なります。やせの場合には、より強いことがわかっているからです。

とはいっても、体重を増やしすぎて赤ちゃんが必要以上に大きく生まれることにも、リスクは伴います。将来、肥満や糖尿病発症のリスク因子になることがわかっています。

増えすぎず、増えなさすぎず、適度に体重を増やしていきましょう。

体格指数(BMI)ごとに目標体重増加量があります

では、どのくらい体重を増やせばいいのでしょうか? それは、妊娠前の体格指数によって異なります。
まずは、自分のBMIを計算してみましょう。

BMI=
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
– – – – – – – – – – –
(例)身長150㎝、体重50kgの場合は、
50(kg)÷1.5(m)÷1.5(m)=22.2

妊娠前のBMIがわかったら下の表を見て、自分の体格の体重増加量の目安を確認しましょう。妊娠中の人は、今の自分の体重と照らし合わせてみてください。

おなかの赤ちゃんが2人以上いる場合は、上記の通りではありません。
また、上記はあくまで目安であり、体重増加には個人差があります。もともと持病がある妊婦さんや妊娠の経過等により、上記の目標体重増加量とは異なる指導をされる場合もあります。

かかりつけの産婦人科医の指導のもと、定められた健診を受け、妊娠中の体重増加についてもかかりつけの医の指導を優先してください。

※1 厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」

<参考>厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


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