02

2021.10.4 更新

ご飯・パン・麺などの主食を中心にエネルギーを摂取

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

「01 バランスのいい食事を心がけましょう」では、バランスのいい食事を摂ることの大切さを紹介しましたが、ここからは妊娠中の人、そしてこれから妊娠したいと思っている人が、具体的にどのように食事に気をつけたらいいかを紹介します。
まずはエネルギーのもととなる、主食についてです。

妊娠中は、妊娠前よりエネルギー量をプラス

妊娠中は、おなかの赤ちゃんの発育のため、自身の健康維持のため、そして出産のために、妊娠前よりも食事から多くのエネルギーを摂取する必要があります。
妊娠していない女性の場合、1日に必要な推定エネルギー量(kcal)は、18〜29歳で2000kcal、30~49歳で2050kcalとなっています(いずれも身体活動レベル「ふつう」の場合)。(※1)

妊娠中は、妊娠前に必要な推定エネルギー量に加え、妊娠初期(~13週6日)は+50kcal、妊娠中期(妊娠14週~27週6日)は+250kcal、妊娠後期(妊娠28週~)は+450kcal、授乳中は+350kcalを摂取する必要があります。(※1)

ですが、実際に今どきの妊婦さんの平均的なエネルギー摂取量を調べると1700kcal前後で、必要なエネルギーが摂れていないことがわかっています。(※2)

厚生労働省公表「日本人の食事摂取基準」(2020年度版)を基においしい健康編集部が算出
◎身体活動レベル「ふつう」とは?…1日に合計2時間ほど体を動かしているなど、日常的に適度に動いているレベルを指します。

エネルギーを摂るために、主食をしっかり食べましょう

エネルギーをしっかり摂るポイントは、ご飯、パン、麺などの主食を抜かないこと。これらにはエネルギーの基となる炭水化物が多く含まれています。
朝・昼・夕の食事にバランスよく取り入れるようにしましょう。

1食の目安は、ご飯なら茶碗1杯、食パンなら2枚、麺類ならうどん1玉程度。
1食で十分な量を食べられないときは、間食に小さいおにぎりやサンドイッチを食べるなど、エネルギーを補給する工夫をしてみましょう。

肥満に該当する人や、妊娠後に体重が急激に増えた人は、かかりつけの産婦人科医や管理栄養士に相談しましょう。(※体重管理については「07 妊娠中の体重増加は個人差が考慮されます」で詳しく紹介)

妊娠中におすすめの主食レシピ


※1 厚生労働省公表「日本人の食事摂取基準(2020度版)

※2 厚生労働省 公表「平成 29 年国民健康・栄養調査」

<参考>厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」

<参考>「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


妊娠中・産後の食事のきほん 目次

病気食事のきほん

病気のときの食事は「何を食べたらいいかわからない」「おいしくない」など、悩みがたくさんあります。病気のときも、毎日の食事をおいしく食べていただくために、病気ごとの食事のきほんをお伝えします。