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2021.10.4 更新

妊婦さんが心配な、食中毒について

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

妊娠中は食中毒に注意が必要です。
食中毒により下痢や嘔吐などの症状が出ることで、流産や早産のリスクにつながることも。また、おなかの赤ちゃんに影響を与えてしまう危険な細菌や寄生虫が潜んでいる食品もあるので、妊娠中は食べないほうがいい食品も知っておきましょう。

妊婦さんが特に気をつけたいのはリステリア菌

妊娠中は妊娠していない人よりもリステリア菌に感染しやすくなります。

リステリア菌は、一般的な食中毒菌と同じように加熱することで予防ができますが、加熱殺菌していないナチュラルチーズや、スモークサーモン・生ハム、肉や魚のパテなどから感染することがあります。

感染するとインフルエンザなどの感染症に似た症状が出ます。
妊娠中の場合、リステリア菌が胎盤や胎児に感染して、流産や出生後の赤ちゃんに影響が出ることがあります。
塩分に強く、冷蔵庫でも増殖する細菌なので、冷蔵庫で長期保存され、加熱しないでそのまま食べる食品には注意しましょう。

生肉は避け、加熱不十分な肉にも気をつけましょう

肉の生食には、腸管出血性大腸菌感染症(O157)、カンピロバクターなどの病原菌、トキソプラズマなどの寄生虫感染のリスクがあります。

O157に感染すると、妊婦さんは重症化しやすいので気をつけましょう。

また、トキソプラズマは妊婦さんが初めて感染すると、おなかの赤ちゃんが先天性トキソプラズマ感染症を発症する恐れがあります。

カンピロバクターはおなかの赤ちゃんが髄膜炎を発症する恐れがあります。

生レバー、ユッケ、肉のたたきなどは避け、しっかり加熱された肉を食べるようにしましょう。

<参考>厚生労働省公表「これからママになるあなたへ 食べ物について知っておいてほしいこと」
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/ninpu.pdf

<内閣府 食品安全委員会「寄生虫による食中毒にご注意ください」
https://www.fsc.go.jp/sonota/kiseichu_foodpoisoning2.html

<政府広報「ご注意ください!お肉の生食・加熱不足による食中毒」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201005/4.html

<厚生労働省「リステリアによる食中毒」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


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病気のときの食事は「何を食べたらいいかわからない」「おいしくない」など、悩みがたくさんあります。病気のときも、毎日の食事をおいしく食べていただくために、病気ごとの食事のきほんをお伝えします。