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2021.10.4 更新

たばことお酒の害を知っておきましょう

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

妊娠中の喫煙や飲酒はおなかの赤ちゃんに悪影響になるため、禁煙・禁酒が原則です。たばこに関しては受動喫煙でもリスクが増えるので、同居する家族にも禁煙に協力してもらいましょう。

妊娠中の喫煙は×。受動喫煙でも悪影響があります

妊娠中の喫煙は、早産や前期破水、絨毛膜羊膜炎、常位胎盤早期剥離、前置胎盤などの妊娠合併症のリスクを高めます。

さらに、赤ちゃんの口唇裂や口蓋裂、先天性心疾患、腹壁破裂増加、低体重、発育不全などにも影響し、死産や流産のリスクを高めたり、乳児死亡率の増加とも関連があることがわかっています。

妊婦さん自身が喫煙をしていなくても、同居する家族の受動喫煙でもおなかの赤ちゃんに影響することがあります。
同居する家族に喫煙者がいる場合は、禁煙をしてもらうか、なるべく屋外で喫煙を済ませてもらうなど、協力を促してみましょう。

アルコールは少量でも×。妊娠がわかったらすぐ禁酒を

妊娠中の飲酒は、早産や妊娠高血圧症候群、癒着胎盤などのリスクが上がり、おなかの赤ちゃんの発育不全や特異顔貌、多動学習障害を含む胎児性アルコール・スペクトラム障害を引き起こすこともあります。

飲酒量が多いほどリスクが高まりますが、「〇ml以下であれば大丈夫」というような基準や確証がありません。
少量でも悪影響を及ぼす危険性があるので、妊娠がわかったら、すぐに禁酒を心がけましょう。

「気分だけでも」とノンアルコールビールを飲みたくなる妊婦さんもいるかもしれませんが、ノンアルコールビールの中には微量のアルコールが含まれるものもあるので、飲む前に成分表示を確認しましょう。
また、アルコールが0%でも糖分やカロリーは高いので、時々楽しむ程度にして、飲みすぎないようにしましょう。

<参考>厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」
https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf

<参考>厚生労働省「e-ヘルスネット」胎児性アルコール症候群

胎児性アルコール症候群

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


妊娠中・産後の食事のきほん 目次

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病気のときの食事は「何を食べたらいいかわからない」「おいしくない」など、悩みがたくさんあります。病気のときも、毎日の食事をおいしく食べていただくために、病気ごとの食事のきほんをお伝えします。