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2021.10.4 更新

葉酸の摂取で神経管閉鎖障害発症を予防

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

「04 副菜からビタミン・ミネラルをたっぷりと」でも少し紹介しましたが、妊娠前~妊娠初期に葉酸を摂取することで、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害を予防することができます。ここでは、妊娠中の葉酸の摂り方や注意点などを紹介します。

妊娠前から葉酸を摂取するのが理想的です

神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)とは、受胎後およそ28日ごろ、胎児の脳や脊髄などの神経管ができるときに起こる先天性異常で、二分脊髄や無脳症、脳瘤などが発症します。

代表的な神経管閉鎖障害
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●二分脊髄(にぶんせきつい)
神経管の下部に異常が生じると、
下半身や膀胱・直腸の機能などに
障害が。
歩行や排泄などに支障が出るため、
多くが出生後に治療を行います。
神経管閉鎖障害の大部分を占めます。
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●無脳症(むのうしょう)
神経管の上部に異常が生じると、
赤ちゃんの脳が形成されず、
生まれても命の維持が困難になります。
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●脳瘤(のうりゅう)
赤ちゃんの頭に瘤が生じます。
出生後に瘤を取り除く手術が
行われますが、
神経学的な障害が残る
可能性があります。

この先天性異常には、葉酸の摂取不足も関係していることがわかっています。葉酸のサプリメントなどを取り入れることで、発症リスクを減らせることが数多くの研究で明らかになっています。(※1)
ただ、多くの場合、妊娠に気づくのは、神経管ができあがったあとになるため、妊娠に気づく前から葉酸を十分に摂取していることが大切になってきます。
(神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるためには、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間に葉酸を摂取することがすすめられています)
妊娠を考えている女性は、サプリメントや強化食品などで意識的に葉酸を摂ることが推奨されていますが、なかなか認知されていないのが現状です。

葉酸が1食200㎍以上摂れるレシピ


※1 厚生労働省2000年公表「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/usr/wadai/ninpuyousan.pdf

<参考>厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」

<参考>「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


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