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2021.10.4 更新

無理がない程度に運動をしましょう

母子愛育会総合母子保健センター 所長

中林正雄先生

「運動はどのくらいしていいの?」と悩む妊婦さんは多いようです。妊娠経過に問題がなく、体調が安定しているなら、無理のない程度に体を動かすことにはメリットがたくさんあります。

お産のため産後の育児のためにも、筋力や体力が必要に

体を動かすことや運動をすることは、生活習慣病の予防・改善や、健康の維持に効果があることがわかっています。
また、長時間同じ姿勢で座り続けることで、血行不良が起こり、血栓ができるエコノミークラス症候群が発症する恐れも。

妊娠中もストレッチや軽めの運動をしているほうが血流がよくなるので、妊娠中に起こりやすくなる、腰痛や肩こり、むくみや脚のつりなどのマイナートラブルをやわらげることができます。

さらに最近では、妊娠中に運動をしているほうが早産や低出生体重児のリスクを増加させない可能性がわかってきました。

お産や産後の育児のために必要な体力や筋力をつけることや、体重を増やしすぎないためにも、適度な運動は効果的です。

運動をするなら医師に確認をし、無理のない程度に

妊娠中にどのような運動をどのくらい行ったらいいのかについては、日本ではまだ明確な根拠はありません。

妊娠経過や体調によっては運動をしないほうがいい場合もあるので、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。

また、これまでまったく運動をしたことがない人が、妊娠したからといって急に難しい運動を始めるのはおすすめできません。ウォーキングやストレッチなどの無理なくできるものや、マタニティヨガやマタニティビクスなど妊婦さん向けのプログラムが挑戦しやすいでしょう。

妊娠中はいつもと体のバランスが違うので、運動するときには転倒に十分注意をしてください。おなかが張ったり、気分が悪くなったりしたときは、すぐに中断して休憩するなど、無理をしないことも大切です。

<参考>厚生労働省公表「令和3年妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」
https://www.mhlw.go.jp/content/000776926.pdf

文/渡辺有紀子
編集/おいしい健康編集部

母子愛育会総合母子保健センター
所長
中林正雄先生

1968年千葉大学医学部卒業、東京女子医科大学教授を経て、2002年母子愛育会愛育病院 院長、2013年母子愛育会総合母子保健センター 所長。専門領域は周産期医学、母子保健。厚生労働科学研究などで、安全で安心なお産のための医療システム構築に取り組む。

母子愛育会総合母子保健センター 所長 中林正雄先生

医師の指導のもと栄養指導を受けている方は、必ずその指示・指導に従ってください。


妊娠中・産後の食事のきほん 目次

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病気のときの食事は「何を食べたらいいかわからない」「おいしくない」など、悩みがたくさんあります。病気のときも、毎日の食事をおいしく食べていただくために、病気ごとの食事のきほんをお伝えします。