高血圧の方、健康診断などで「血圧が高め」と指摘を受けた方は、そもそも「血圧」そのものについてご存知でしょうか?
高血圧という病気を知るには、まず血圧について理解する必要があります。
血圧とは、血液が血管の内側に与える「圧力」のこと
私たちのからだには無数の血管がはりめぐらされています。そのなかに血液が流れ、酸素や栄養素を全身の臓器や組織に運んでいます。
この血液を全身に運ぶのが心臓で、ポンプのように収縮と拡張を繰り返します。心臓から血液を動脈という血管に押し出し、全身の組織に規則正しく届けています。
このとき、血液は血管の内側(血管壁)に圧力与えていますが、この圧力を「血圧」と呼んでいます。
血圧には、心臓が1回の拍動で全身に送り出す血液量(心拍出量)や血管のしなやかさ(弾力性)、血液が血管に流れ込む際の末梢血管の抵抗力(血管抵抗)、血液の粘度など、さまざまな状態が関係しています。
血圧の「上」と「下」とは?
血圧の数値で「上は○○、下は○○」という言い方を耳にしたことはないでしょうか。
上と下、血圧は2つの数値を見ています。
上の血圧とは最高血圧のことで、正式には「収縮期血圧」といいます。一方で下の血圧は最低血圧。「拡張期血圧」を指します。
◎収縮期血圧(上の血圧/最高血圧)
心臓の収縮によって血液が全身に送り出されるときの圧力。血圧が最も大きくなるため、このときの血圧を「収縮期血圧(最高血圧)」と呼びます。
◎拡張期血圧(下の血圧/最低血圧)
収縮した心臓のなかに再び血液が送り込まれ、心臓が拡張して元に戻るときの圧力。このとき、心臓から血管への血液の送出はないので、血圧は最も弱くなります。
高血圧はどのように診断されるもの?
高血圧であるかどうかは、血圧を測定することでわかります。
血圧には、主に、病院やクリニックで測る「診察室血圧」と、自宅にて自分自身で測る「家庭血圧」があります。日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2019」ではそれぞれ数値を分類しています。
診察室血圧は、1回の測定だけではなく、別の日にも行い数回の測定結果をもとに判定します。そして上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)のどちらか一方でも140/90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。
家庭血圧は5〜7日の平均値をとり、どちらか一方でも135/85mmHg以上である場合、高血圧と診断されます。
つまり、診察室血圧が140/90mmHgを超えたら、家庭血圧では135/85mmHgを超えると高血圧と診断されるのです。
また、「高値血圧」は、高血圧への移行に注意が必要とされる領域です。診察室血圧で130/80mmHg以上、家庭血圧で125/75mmHg以上の方は、生活習慣の見直しをすることが求められます。
家庭で血圧を測るなら
家庭血圧を指標とする治療の実施は、診察室血圧よりも強くすすめられていることから、家庭で血圧を正しく測定することは大切です。
測定するタイミングは、朝と夜の1日2回。決まった時間に測ります。
◎朝
起床後1時間以内に測定。
トイレをすませ、服薬前、食事前に測ります。
◎夜
食事、飲酒、トイレの直後は避けて。
入浴後は1時間以上あけましょう
腰掛けた状態で脚は組まずに。歩いたり運動したりした直後は避け、1〜2分間の安静を保ったうえでリラックスして行いましょう。
血圧計はさまざまなタイプがありますが、上腕に巻くタイプ(上腕式)が最も正確に数値が測れると言われています。そして測定した血圧値は記録をしておきましょう。
<参考>日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
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文/おいしい健康編集部